ペネロペ・クルス、映画『ある愛へと続く旅』インタビュー

ペネロペ・クルス『ある愛へと続く旅』インタビュー

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ペネロペ・クルス
ペネロペ・クルス、映画『ある愛へと続く旅』インタビュー

[シネママニエラ]女優ペネロペ・クルスが、ベストセラー作家マルガレート・マッツァンティーニによる小説を基にした映画『ある愛へと続く旅』についてインタビューに応じた。本作では、女子大生から高校生の息子の母親までの長い年月を演じている。実生活でも母となりこの映画に挑んだため、「息子が生まれた後でなければ、主人公ジェンマの気持ちを違う風に理解していたのではないかと思います」と語る。

ある愛へと続く旅|セルジオ・カステリット

――映画『ある愛へと続く旅』の原作は、ベストセラー作家マルガレート・マッツァンティーニによる小説「VENUTO AL MONDO」ですよね。

ペネロペ・クルス:この原作本は傑作よ。わたしが今までの人生で読んだ中で、一番強烈で美しいストーリーだったわ。映画『赤いアモーレ』の原作「動かないで」を読んだときと同じように感動したの。「動かないで」は飛行機の中で読んだけれど、涙がこぼれてきて。あの物語とあの主人公に取りつかれたようになった。今回「VENUTO AL MONDO」を読んだ時も同じように感動したわ。けれども、ふたつの物語は全く異なるものだし、主人公のイタリアとジェンマも、昼と夜ほどの差があるから。でも、わたしは彼女たちに同じ情熱を感じたの。勇気をもち、小説を映画化ができて本当に良かったと思ってるのよ。このような物語を映画化するのは本当に難しいことだから。

――ジェンマ役を選び、そして演じたことについてお聞かせください。

ペネロペ・クルス:原作を読んだとき、500ページもあるのに1日半で読み終えたのね。そして、他に何も手がつかなくなったくらいに、読後はジェンマのことばかり考えていたわ。彼女に惚れ込んだの。なんだかとても変な感じ。監督のセルジオとは、おそらく3年から4年くらい前から、この本の映画化について話し合ってきたわ。女性としても女優としても、自分の息子が生まれる前ではなく、子供を持ってからこの映画を撮れたことは、とても面白い経験だった。なぜなら、ジェンマが今どの時点にいて、どの時点には決して達することがないかがより理解できるから。わたしに人生経験がなかったら、主人公ジェンマの気持ちを違う風に理解していたと思うの。それが良い悪いということではなくて、ただ違う印象を持っただろうというだけよ。

――本作では、20代から50代へと異なる年齢のジェンマを演じ分けたましたが。

ペネロペ・クルス:本作のように年代を旅する役をいただけるのは、光栄なこと。監督のセルジオも言っていたけど、50代の現在を撮ってから、若い頃の役に戻るのは面白かったわ。普通の撮影なら逆なのに。わたし自身ジェンマについて、多くのことを理解するのは面白かった。それから戦争中の場面や、彼女がサラエボでやっと自分の息子を見つけるシーンなど強烈な場面を撮りったけど、すでに思春期の息子との関係を撮影した後だったので、とても面白い経験となったわ。
わたしはジェンマという役に対して、尊敬と愛情を感じているの。だから、この役を演じられて、とても幸せ。でも、演じているときは非常につらく、暗い日々も過ごしたわ。かの地(=サラエボ)に行かないでこの役を演じるのは無理だったから。

――では、その舞台となったサラエボはいかがでしたか?

ペネロペ・クルス:サラエボは、すごい街。2回訪れたの。1回目は夏の初めで、2度目は11月でひどく寒かったわ。実際に現地に行って、自分の目で(場所を)見て、人々と話さない限り、あの戦争のことを理解するのは難しいと思うの。信じられないような戦争なのよ。わたしの心の中には今、いつもサラエボがあるの。また行かなければと思っているわ。だって、忘れられないのよ。本当に特別な場所で、他とは違うエネルギーがみなぎっているの。世界のどんな街とも異なっているわ。

――セルジオ・カステリット監督とは、2度目のお仕事になりますよね?

ペネロペ・クルス
ペネロペ・クルス、映画『ある愛へと続く旅』インタビュー

ペネロペ・クルス:彼は素晴らしい人よ。わたしの知る中で、彼は最高の俳優の一人だと思うわ。映画のセットで監督としても素晴らしい人。俳優が、どうやって役に入っていくかのプロセスをよく分かっている人なの。そして、そのプロセスを非常にリスペクトしてくれる。俳優が真実を発見するまで自由にやらせてくれるので、わたしはセットでよく監督にお礼を言ってるぐらいなのよ。だって、演じる上で何でも試させてくれるんだもの。些細なことにも気付いてくれる。リスクを冒したり、何も怖がらずに、それと同時に自由も与えてくれるのよ。
わたしにとって『赤いアモーレ』も『ある愛へと続く旅』も刺激的な経験だったわ。どちらの方が刺激が強かったとは言えないけど本作の方が長丁場だった。とても素晴らしい経験をしたから、また彼と仕事をするのが待ち遠しいわね。

――息子役のピエトロ・カステリットは、監督と(本作の)原作者のご子息なんですよね?

ペネロペ・クルス:ええ、ピエトロはすごく優秀なの。それにやさしい人。彼とわたしは撮影中ちょっとおかしな関係にあった。彼はわたしを見るたびにびっくりするのよ。ジェンマは、息子を溺愛して常につきまとう性格の母親だから。イタリア語でRompi coglioni(口うるさい人の意)と表現するけど、まさにそれ。わたしはこの物語が大好き、観る人の心に響く映画に絶対になったと思っているわ。

――母と息子の愛も含めて、本作のラブストーリーの部分を、どのように感じていますか?

ペネロペ・クルス:息子も母親を愛しているけど、彼女にとっては息子がすべてなのよね。とても美しいラブストーリーだわ。ラブストーリーがうまく作用しなければ、残りの部分も無意味なものになってしまうもの。なぜなら、この映画は彼女が永遠に失った愛を描いているから。そして、彼女の人生にはずっとこのことが残っているの。彼女は人生最大の愛を、悲惨な形で失くしてしまった。だからこそ、幸せな時、希望にあふれている時というのは、監督が言うように、おとぎ話のようでなくてはならない。素晴らしい素材があり、すべてが描かれているこのような映画の時には、真実を見つける鍵を持っているようなものなの。
素晴らしい原作本に感謝しているし、監督と監督の奥さん(である原作者)が、一緒に書いた台本にも感謝しているわ。あの原作から台本を起こす難しさは、撮影を上回る難しさのはず。台本には、何も省かれていなくて、全ての見るべき心臓部が含まれていたんだもの。

原題=VENUTO AL MONDO
英題=TWICE BORN
日本公開=2013年11月1日
配給=コムストック・グループ
公式サイト
©Alien Produzioni / Picomedia /Telecinco Cinema/ Mod Producciones 2012

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