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戸田奈津子×菊地浩司「映画字幕は識字率が高い日本の独自文化」

戸田奈津子×菊地浩司「映画字幕は識字率が高い日本独自の文化」[シネママニエラ]戸田奈津子と菊地浩司といえば、映画翻訳家協会に1983年の設立時から在籍するベテラン翻訳家。そのふたりが映画字幕についての持論や、「当時の日本は識字率が高かった」ため1秒4文字などの独自の字幕ルールが生まれ普及したという日本の映画字幕における背景を語った。

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戸田「映画はドラマをたのしむもの。英語の勉強ではない」と明言。そのため字幕翻訳家の考える理想の字幕は「映画を楽しむために、字幕を読んだと感じないこと。外国語を耳で聞いて直接わかったと思える、いわゆる錯覚させる字幕が一番」だと持論を明かせば、菊地も同意。

そこから戸田は、戦後の日本を振り返り「日本人って俳優の声を聴きたい!って真面目な人が多いの。それに漢字は意味を示すから、識字率が高かった日本人にとって、字幕は理想的だったのね」と、日本で映画字幕が普及していった背景について考察。先人たちが音声1秒を4文字でという文字数や字幕を表示するタイミングを試行錯誤し日本独自のルールができた。

そもそも(昭和の初期には)海外での外国映画の上映は*吹替えが主流だった。「(映画評論家の)故・淀川長治さんから聞いた話だけど、初めて日本で上映するハリウッドの恋愛映画の吹替えを、ハリウッドが自ら作ったそうなの。その当時の同地には日本人といっても広島出身者が多かったらしくて、標準語ではなく広島弁の吹替えが完成して日本に届けられた。それを上映したところ、ラブシーンが大笑いになったって」という知る人ぞ知るエピソードに観客は大笑い。

そんな戸田が今、若者に鑑賞を勧めたい作品を問われると、自身の映画字幕翻訳家デビュー作となったフランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』をチョイス。「選ぶ日の気分によって変わる」と謙遜するものの、「いまはCG全盛だけど、この作品はすべてが本物。実際に火を放って燃やしているしヘリなんかも本物なの。作り物との迫力の違いが分かるはず。観るなら(巨匠コッポラ自身が53分の未公開映像を追加した)特別完全版にして」と付け加えた。

巧みな話術で傾聴者を魅了したふたり。イベント参加者からは、広島弁エピソードが面白かったという声が多数あがっていた。このトークイベント「戸田奈津子さんと語るハリウッドビジネスの英会話」は、菊地が編み出した学習法「K-メソッド」を用いた英会話レッスン「東京バイリンガルサービス」の開業を記念して行われた。(こちらのイベントの動画配信は近日の予定)

「東京バイリンガルサービス」は11月4日[火]よりレッスン受付開始
公式サイト

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*注:一般的に吹替え版の方が製作費用がかかる。字幕を読むことを面倒に思う人が多い。

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