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トム・ハーディ「ゲイリー・オールドマンとの共演は演技が磨かれる」

映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』

©2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

Tom Hardy
撮影:Vanessa Lua

[シネママニエラ]いま大注目の英国俳優トム・ハーディがインタビューに応じ、「どんな映画でも苦労はつきもの」だとして撮影を振り返った。これまで4度の共演をはたした先輩俳優ゲイリー・オールドマンについても語った。

トム・ハーディ「どんな映画でも苦労はつきもの」

本作はベストセラー小説を基に、スターリン政権下のソ連で起きた、子どもを狙った連続殺人事件の捜査の行方を描くサスペンス作品。犯罪なき理想国家を掲げる政府は事件を葬った為、多くの犠牲が生じた。トム・ハーディが演じた主人公レオ・デミドフは国家に忠誠を誓っていたが、あることを機に彼は目の前の現実から目を背けることをやめる。

――ご出演の経緯をお聞かせください

トム・ハーディ:『The Drop』で共演後、ノオミと僕はまた一緒に仕事ができるプロジェクトを探していた。そんな時、ノオミが『チャイルド44 森に消えた子供たち』とダニエルのことを聞きつけてきてね。僕たちは話し合いの場を設けて、ノオミ・ラパスと僕と(監督の)ダニエル・エスピノーサ、そして(製作の)リドリー・スコットと企画について大いに語り合ったし、話し合っているうちに決まったんだ。僕たち全員にとって刺激的な経験になるだろうと感じられたから、企画を実行することにした。

――この企画の魅力はどこでしょう?

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トム・ハーディ:2つある。まず、豊かなストーリー展開が気に入った。戦争の英雄で今はMGBで働く男がいる。彼は孤児から身を起こし、スターリン政権下のロシアで象徴的な存在になった。究極的には共産主義そのものの象徴だ。だがそれに裏切られる。親友の息子が殺されたことを否定するよう強要され、心から愛している女性ライーサ(ノオミ・ラパス)は自分のことを愛していないという事実を突きつけられる。愛する人たちから怪物のように見なされても、彼が生きている政治的環境の中では何もできない。そこが生きる場所であるばかりか、秘密警察の一員として、その体制の先導的役割を担う存在なんだよ。

それに、制作チームの顔ぶれ。(映画会社の)ライオンズゲートとは『ウォーリアー』で一緒に仕事をし、素晴らしい経験をさせてもらった。本当に楽しい撮影だったんだよ。ストーリーに関して言えば、『チャイルド44 森に消えた子供たち』はアクションも満載だが、歴史ドラマでもある。ソビエト連邦やスターリン政権下の共産主義という舞台背景もあるし、そんな状況で連続殺人事件の捜査が行われるのも面白い。キャラクターに導かれて展開する自然主義的なストーリーは、僕にとって身近だが刺激的な分野。夢のようなアンサンブルだ。

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――あなたが演じるMGB捜査官のレオ・デミドフについて教えてください

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トム・ハーディ:僕にとって刺激的で興味深かったのは、レオが複雑な人物だという点。だが映画で演じる際にはシンプルにしなくてはいけない。まずシルエットを描いて、それから命を吹き込む。レオは太陽に近づきすぎたイカロスのような人物なんだよ。彼には悲劇的な側面がある。少年時代は親がいなくて何一つ、持っていなかった。そこからはい上がり、一度はすべてを手にするが、また何もかも失ってしまう。でも前に進むために人生を立て直そうとするという、分かりやすい軌道を描いている。>>つづく

【補足】スターリン政権下のソ連。1933年、ウクライナの孤児院を逃げ出した少年は、軍人に拾われレオという名前を与えられる。1945年、レオ(トム・ハーディ)は第二次世界大戦のベルリン陥落に貢献し英雄に。そして1953年、モスクワでレオは国家保安省(MGB)に勤め、反体制活動を取り締まるエリート捜査官に出世。

アメリカ・イギリス・チェコ、ルーマニア映画/137分
原題=CHILD44(2015) IMDb
日本公開=2015年7月3日
配給=ギャガ
公式サイト http://child44.gaga.ne.jp/
©2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

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――撮影はどちらで?

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トム・ハーディ:チェコ共和国で行った。スタッフは素晴らしかったよ。高い水準を保って撮影を遂行し、無駄は一切、なかった。仕事をするには最高の国だね。みんなが真剣に仕事をする現場で働けたのは素晴らしい経験だった。彼らはみんな真剣だが、深刻になりすぎることもない。

――一番、苦労したことは?

トム・ハーディ:苦労より喜びのほうが大きかったよ。でも僕が苦労したことと言えば、できるだけ原作本に忠実でありながら映画的な迫力を持つ壮大な歴史ドラマを作るという、それまでやったことがないことに挑戦した点かな。全面的に楽しめる魅力的な作品にするために、できる限りのものを注ぎこんだ。要するに、どんな映画でも苦労はつきものなんだよ。いつでも一番、苦労するのは、最大限の魅力を持つ映画を完成させることだね。

――ノオミ・ラパスとの再共演はいかがでしたか?

トム・ハーディ:ノオミは自分がやりたい企画を見つけると、それを実現するためにがむしゃらに努力するタイプの人間だ。ダニエル・エスピノーサとの仲を取り持ち、関係を築いたのは彼女だ。それから企画が実を結ぶまで、ひたすら懸命に努力を続けていたよ。

撮影現場に立つと、110パーセントの力を注いで演技する。僕が出会った中でも最高な役者の1人だよ。彼女に企画を持ちかけられたら、無視したり適当にあしらったりできるものじゃない。彼女が僕と同じように仕事を愛していることを知っているからね。

――デミドフと手を組んで殺人犯を追うことになる田舎町の警察署長ネステロフ将軍役の名優ゲイリー・オールドマンとの共演回数は多いですね

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トム・ハーディ:『欲望のバージニア』、『裏切りのサーカス』、『ダークナイト ライジング』そして『チャイルド44 森に消えた子供たち』で4度目だね。

ゲイリー・オールドマンは史上、最も優れた性格俳優の1人だ。こんなことを言うのは僕だけじゃないよ。彼は大作映画でもインディペンデント系映画でも舞台でも、常に最高レベルの演技を見せる。本当に優れた才能の持ち主だ。どんな作品でも、いつも変わらず高水準の名演技を続けているんだよ。ゲイリーのような人と共演すると自分の演技も磨かれるし、最高レベルの真剣さとプロ意識で仕事が成されるという安心感がある。彼は記憶に残るキャラクターを次から次へと演じては、絶え間なく、その力量を証明し続けているんだ。そんな人と共演できたのは、いろんな意味で、夢のようだったよ。

――本作のエスピノーサ監督があなたにもたらしたものは?

トム・ハーディ:ダニエルもノオミと同じくらい熱心に情熱的に仕事に取り組む。一緒に仕事をしたいと思わせる人だね。彼らは時間を無駄にしない。心から仕事を愛していて、どんな努力も厭わない。限界に挑戦し、可能な限りベストな映画を作るためなら何でもするんだ。

アメリカ・イギリス・チェコ、ルーマニア映画/137分
原題=CHILD44(2015)
日本公開=2015年7月3日
配給=ギャガ
©2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

トム・ハーディ|Tom Hardy

1977年9月15日生まれ、英ロンドン出身。ロンドンの演劇学校ドラマ・センターにて演技を学ぶ。映画『ブロンソン』の凶悪な主人公役で、英国インディペンデント映画賞最優秀男優賞を受賞し注目を集める。クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』トーマス・アルフレッドソン監督の『裏切りのサーカス』など話題作に相次いで出演。『ダークナイト ライジング』では顔面ガスマスク姿による敵役ベイン役を「目」で感情表現し圧倒的存在感で世界にその名を知らしめた。

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