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<名匠クロード・ルルーシュ>映画『アンナとアントワーヌ』で陳腐を打破したかった

[シネママニエラ]名匠監督のクロード・ルルーシュが、映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』はアントワーヌ役のジャン・デュジャルダンと、アンナ役のエルザ・ジルベルスタインからのラブコールで実現した企画だと明かし、「ラブストーリーの陳腐なパターンを打破したかったんだ」という作品に込めた思いを語った。また、愛に対する持論も聞けた。

© 2015 Les Films 13 – Davis Films – JD Prod – France 2 Cinéma

「アントワーヌ役のジャン・デュジャルダンと、アンナ役のエルザ・ジルベルスタインが私を突き動かしたんだよ。ふたりから「一緒に仕事がしたいという気持ちを伝えたかった」という電話をもらってね。彼らは思いもよらないカップルになる可能性を秘めていた。お互いに違いすぎるからこそ、理想的なカップルになるはずだ、とね。ジャンとエルザのことを考えながら、私は大急ぎで脚本を書き上げた。2人は私の執筆作業を見守り、その工程を楽しんでいた。2人はそれぞれ極めてユニークなやり方で、今の映画の新しいトレンドを教えてくれた。こうして私は初めて熱意ある要望に応える形で映画を作り上げた」

男の成功は女次第

「愛は人間にとって、一番の関心事だ。ラブストーリーほど満足感を味わえるものはないと同時に不快なものもない。つまり愛というのは混沌としたものであるがゆえに、驚くべき展開となる可能性があるんだ。事実、愛はこの映画の唯一のテーマだ。愛に限界はない。誰かが誰かを深く愛していても、別の人間を好きになることもあるということを描きたかった。私にとって愛とは、あらがうことのできない麻薬のようなものだ。私の作品や私の人生でも女性たちが重要な役割を担ってきたが、彼女たちのお陰で、今の私がある。これはいつも言っていることだが、もう一度言うと、成功した男というのは女たちが作っていると言えるね」

陳腐なパターンを打破したかった

「私はコメディを作りたかった。そしてそれ以上にラブストーリーの陳腐なパターンを打破したかったんだ。インドはこの作品のキー・キャラクターのひとつだ。ずっと私は、インドに行くべきだと言われ続けてきた。私の哲学や世界に対する物の見方や前向きな態度、映画に盛り込んだものを見て彼らはそう言っていたのだろうが、やっと75歳にして、かの地を訪れた。思っていたとおりの国だった。世界中を何度か旅したことあるが私にとって、あそこが一番美しい国だった。何よりも貧富の格差があるのが気になったが、合理的なものと不合理なものが共存しているのがいい。もっと早い時期にインドのことを知っていたら、すべての作品をインドで撮影していたかもしれないと思ったくらいさ」

男女の仲ほど興味深いものはない

「俳優のジャン・デュジャルダンと
© 2015 Les Films 13 – Davis Films – JD Prod – France 2 Cinéma
あの国は何が最も大事で尊いことなのかを教えてくれる。それはつまり度量の深さと正直さで、これが出会いを引き起こす背景なんだ。我々には運命なんて分からない。もし人生がチェスのように長く複雑なゲームだとするならば、我々は驚きに驚きを重ねながら成長するのかもしれない。男女の仲ほど興味深いものはない。この地上で最も美しい風景も単なるオマケにすぎない。素晴らしいラブストーリーは、どこででも起こり得る。内なる感情に目覚めるために、ガンジス川に入ったり、ヒマラヤ山脈に上る必要はない」

カップルを継続させるものは?

「映画の中での2人の唯一の共通点は、フランス人だということだけだ。2人の関係が、カップルらしさや陳腐な決まりごとのすべてを壊すことは分かっていた。今日、巷にはラブストーリーが溢れ返っている。あらゆることがメディアに取り上げられ、語り尽くされているから、今風な関係においては、根本的にものの見方を変えるなんじゃないかな。今のカップルは、表面的なものが全てになっている。最初の段階がすごく重要なことになっているね。感じが良く見えるとか、声をかけやすいとかね。だがカップルを継続させるものは、最初に見たものじゃない。何もかもが隠れている。見た目だけのことなんて、すぐに飽きてしまう。ひと晩以上は続かないことだってある」

映画の持つ力が人の心を変えられる

「そんな私が愛してやまないことが2つある。それは人生と映画だ。映画を1本作るたびに、どうしたら人々がこの世の中を、より好きになってくれるかを考えてきた。私は映画の持つ力が人の心を2時間で変えられると信じている。私は人生を賭けて、俳優や脚本やカメラを開放するよう努めてきた。そしてこの映画には、50年間の私の思いを盛り込んだ。この世界を愛する私の思いが、映画を通して広がることを願っているよ」

映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』あらすじ

映画音楽家のアントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、自分が作曲してきた映画の主人公のように、飄々とユーモアにあふれた人生を謳歌していた。そんな折、ボリウッド版『ロミオとジュリエット』作品の製作のためにインドを訪れた彼は、フランス大使の妻アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)と出会う。

映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』(ファントム・フィルム配給)は2016年9月3日[土]よりBunkamuraル・シネマほかにて公開

公式サイト http://anna-movie.jp/

映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』作品情報・予告編
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