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実録映画『チェルノブイリ・ハート』は被曝被害の実態を描いている

映画『チェルノブイリ・ハート』上映会

[シネママニエラ]マリアン・デレオ監督の映画『チェルノブイリ・ハート』は第76回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞。原発事故による被曝被害の実態を描いており、国連総会でも鑑賞された。

7月27日、ドキュメンタリー映画『チェルノブイリ・ハート』の上映会が衆議院第1議員会館にて行われ、社民党の福島みずほ党首が自身のTwitterでの呼びかけにより集った一般の鑑賞者と、国会議員と議員秘書が同作を鑑賞。上映後には議員とマスコミとの質疑応答が行われた。

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同作は1986年4月26日発生した旧ソビエト連邦(現ウクライナ)における、チェルノブイリ原発事故による被曝被害の事実を追った実録映画。タイトルの“チェルノブイリ・ハート”とは、穴の開いた心臓のことで、現地では生まれつき重度の疾患がある子どもをこう呼ぶのだという。

本編によると、“チェルノブイリ・ハート”の手術には、ゴアテックス製のパッチが使われるという。パッチの単価は300ドル。平均月収が100ドルというのだから、お医者様様状態の姿も映し出されるのだが、アメリカ人の医師は「自分は医師として当然のこと」だと当惑を隠さない。また、ある女性が「放射能はインビジブル(=見えない)な暴力」だと表現していた。その言葉を発したくなる気持ちに同調できるほどの“被曝の事実”が映されている。懸命に生きる、子どもたちの姿に、胸を締め付けられることだろう。

本上映会の案内は、全議員に配布したとのこと。さまざまな委員会が行われる日ということで、参加した国会議員は17名。それには脱原発派ばかりではなく、被曝被害の実態を知るためにという観点からの参加があったと思われるという説明がなされた。なお、上映前の一般参加の鑑賞者には、「急にも関わらず、一緒に観てくださることを心から感謝します」(福島党首)、「事実を知っていただきたい」(橋本議員)という挨拶があった。

なお、上映後の取材に応じた4名のコメント。

橋本勉 衆議院議員(民主党)
消えた年金問題しかり、人権を奪うものは最優先で考えねばならない。映画で描かれる内容は、議員に認識されていない面がある。本日、未見の議員には(上映館のある)渋谷と銀座へ行くよう勧めたい。

橘秀徳 衆議院議員(民主党)
目に見えない放射能という暴力が命も生活も故郷も奪います。“暴力装置”とは原発をいうと思います。まだまだ永田町、霞が関、財界の強い原子力村と闘わねばなりません。

井上哲士 参議院議員(共産党)
被害が現在も進行中という事実に衝撃を受けた。まだ未熟な技術しかない人類とは共存できない。この国の原発をどうするべきか改めて考え、線量の公開なども、きちんとするべき。

福島みずほ 参議院議員(社民党)
(本作を)議員会館で上映したことに意味がある。チェルノブイリと福島は、同じではないが、国民は知る必要があると思う。原発とは何か。被曝ってどういうことか。そういう素朴なところから、この映画を観てもらいたい。そして、みんなで考えることから始めたい。

2003年アメリカ映画/
原題=CHERNOBYL HEART
日本公開=2011年8月13日
配給=ゴー・シネマ
公式サイト

【取材後記】人間は、技術によって生活が豊かになることを求める。しかしながら、完全にコントロールできないような技術に全面的に頼っていいものか?という疑問を正直抱かずにはいられなくなる。(南)

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