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ダミアン・ジフロン監督「オムニバス映画が成功する秘訣」を明かす

ダミアン・ジフロン監督「自己抑制の代償は大きい」
©2014Kramer & Sigman Films / El Deseo
[シネママニエラ]6人の男女が人生において、決して押してはならないスイッチを押してしまったがために、不運の連鎖に巻き込まれる様をユーモアたっぷりに描いたブラック・コメディ映画『人生スイッチ』のダミアン・ジフロン監督が「オムニバス映画が成功する秘訣」「自己抑制の代償は大きい」という持論を語った。

ダミアン・ジフロン監督「オムニバス映画が成功する秘訣」を明かす

――どのようにして誕生した企画でしょうか

他の普通の脚本に着手していた時にこの脚本を書いたんだ。初めは、これらの話をどうすれば良いか分からなかったけど、4-5作出来てきたところで、これらの作品が同じDNAから来たもの、テーマとしてリンクしていると気付いたんだ。

――タイトルについては?

音楽に例えるなら、この曲たち(1つ1つの話)は、同じアルバム(1つの映画)にフィットする。夜空に例えるなら、一つの星座(映画)の中の星たち(1つ1つの話)のようだと。そして、「人生スイッチ」という名前に思い当った時、それが必要な物だったと感じたんだ。

――今作が母国(アルゼンチン)で高い評価を得て、さらに大ヒットを記録したそうですね

商業的にというだけではなく、芸術的にも、同じような映画で成功した例がないことが1つ問題だったと言えるかな。こういう作品ではお客が呼べないと業界が思っている中で、自信を持ち続けることは困難だった。でも、偉大なプロデューサーに素晴らしいキャストとクルーも皆脚本を信じてくれたんだ。

――各エピソードの順番はどのような意図で決めたのでしょうか

書いた順番になってるんだ。その順番を守ろうと持ったわけじゃなくて、他の順番も考えたんだけど、最終的にはこの順番にしたんだ。カンヌでこの作品を試写した時に、このままが良いと気付いたんだ。発展性があるし、バリエーションにも富んでいる。

――オムニバス映画が成功する秘訣を教えてください

うまくいかない理由の一つは、エピソードごとに監督が違って、制作プロセスの中で話がうまくつながっていないからだと思うんだ。だから逆に、全てのエネルギーをコントロールする人間が1人だったら、成功の確率は高くなると僕は思うよ。>>つづく

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アルゼンチン、スペイン映画/122分
原題=Relatos Salvajes(2014)IMDb
日本公開=2015年7月25日
配給=ギャガ
公式サイト http://jinseiswitch.gaga.ne.jp/
©2014Kramer & Sigman Films / El Deseo


ダミアン・ジフロン監督「自己抑制の代償は大きい」

――ペドロ・アルモドバルが本作に関わったことも支援になったのでは?

ペドロ・アルモドバル、オーグスティン・アルモドバル、エスター・ガルシアが2006年に僕が作った映画「On Probation」を見てくれて、とても気に入ってくれたようなんだ。なおかつK&S Filmsのプロデューサーとも関わりがあったみたいでオーグスティンがアルゼンチンに来た時に一緒にディナーに行ったんだ。彼は僕が次にどんなものを作ろうとしているのか聞いてきて、彼とペドロがプロデューサーになりたいと言ってくれたんだ。もちろんとてもありがたいし、幸せだったよ。

制作の面から言えば、ペドロは自分の会社を持っているし、好きな時に好きなものを撮れる。彼はアーティストにとって最も大事なことは自由であることだと本当に信じてるんだ。だから、彼がプロデューサーになる時には、その作品の監督のために同じ環境を作ってくれるんだ。彼は「脚本は素晴らしかった。1つのコンマすら変えずに作るんだ。君以上にこの話を良く撮れる人なんていないんだから、君はやるべきことをやるんだ」と言ったよ。

――その後の、製作過程でも助言を得られたのですか?

ファーストカットを彼に見せて、それについて語り合った。もちろん、彼は世界的に有名なアーティストなのに、作品がカンヌ映画祭に出品されるなんてことになったら彼がその作品の先頭に立って大使のような役割を果たさなきゃならない。カンヌでもたくさんの取材を受けてくれたよ。サンセバスチャンにも僕と一緒に来てくれたんだ。この作品に関して話すのに、何ヶ国にも来てくれた。彼はこの作品の偉大なるゴッドファーザー(名付け親、ボス的な)のようなものだよ。

――怒りや感情の暴走に身を委ねること=喜び、と表現されるのはユニークだと思ったのですが

人生において、逮捕されたり死にたくなければ自分自身を抑制しなくてはならない時がある。だから、喧嘩したくても出来ないときもあるんだ。でも、抑制していることの代償も大きい。生きていた方が良いけど、あれを言えば良かった、こうすれば良かった、と過去を思い悩むことになる。芸術や脚本の中では抑制する必要なんてない。最後の最後まで突き進んで、その経験を変換して観客に見せればいいんだ。血や苦悩が見えても、観客は大いに笑ってくれると思うよ。抑制するのではなく、反抗することの楽しさや欲求を理解できるだろうから。

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アルゼンチン、スペイン映画/122分
原題=Relatos Salvajes(2014)IMDb
日本公開=2015年7月25日
配給=ギャガ
公式サイト http://jinseiswitch.gaga.ne.jp/
©2014Kramer & Sigman Films / El Deseo

ダミアン・ジフロン|Damian Szifron

1975年、アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。ブエノスアイレスにある映画の大学で映画研究の学位を取得する。2003年、マル・デル・プラタ国際映画祭で初監督映画『The Bottom of the Sea』を発表、ラテンアメリカ映画部門のスルバー・オンブ賞と国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞を受賞する。さらにサン・セバスチャン映画祭でも審査員特別賞を始め、数々の賞に輝く。

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