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映画『屍者の帝国』『虐殺器官』『ハーモニー』で知る伊藤計劃

[シネママニエラ]夭折の小説家・伊藤計劃さんの作品をアニメ映画化する「Project Itoh」は、『屍者の帝国』『虐殺器官』『ハーモニー』の3部作プロジェクト。「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」で知られる、人気深夜枠「ノイタミナ」発の劇場版第2弾企画。

映画『屍者の帝国』ヴィジュアル ©Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES

「人もまた物語である」とし、他者によって絶えず変化していくことを希望した伊藤計劃。このプロジェクトは彼の最新作であり、盟友・円城塔により更なるバリエーションを得た『屍者の帝国』からスタートを切る。続いて作家性の根源が反映されたデビュー作『虐殺器官』、その先の景色を模索した『ハーモニー』へと繋がっていく。

映画『屍者の帝国』は2015年10月2日[金]より
映画『ハーモニー』は2015年12月4日[金]より→2015年11月13日[金]より
映画『虐殺器官』は2015年11月13日[金]より→延期→2017年2月3日[金]より

配給=東宝映像事業部
「Project Itoh」公式サイト project-itoh.com

2015年09月26日 掲載
2015年10月03日 更新[公開日の変更]
2017年01月20日 更新[公開日の変更]

伊藤計劃(いとう けいかく)

1974年生まれ。2009 年3 月20 日、死去。享年34歳。
2006年『虐殺器官』が第7 回小松左京賞最終候補となり、翌年同作でデビュー。2009年にオリジナル長編第2 作『ハーモニー』で第30 回日本SF 大賞を没後受賞。同作は米国SF 文学界の権威であるフィリップ・K・ディック記念賞の特別賞を受賞。オリジナル長編第3作となるはずだった『屍者の帝国』は、盟友・円城塔に書き継がれる形で完成し、共著として2012年に刊行。第33回日本SF 大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門を受賞。

映画『屍者の帝国』

©Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES

伊藤氏が生前親しみ、人間の想像力と技術躍進により無限の可能性を秘めたアニメーション表現を武器に、30代半ばにして劇場2作目となる俊英・牧原亮太郎と、『進撃の巨人』のWIT STUDIO が挑む!

映画『屍者の帝国』あらすじ

“死者蘇生技術”が発達し、屍者を労働力として活用している19世紀末。ロンドンの医学生ジョン・H・ワトソンは、親友フライデーとの生前の約束どおり、自らの手で彼を違法に屍者化を試みる。その行為は、諜報機関「ウォルシンガム機関」の知るところとなるが、ワトソンはその技術と魂の再生への野心を見込まれてある任務を命じられる。

魂の再生は可能なのか。死してなお、生き続ける技術とは。

それは、100年前にヴィクター・フランケンシュタイン博士が遺し、まるで生者のように意思を持ち言葉を話す最初の屍者ザ・ワンを生み出す究極の技術が記されているという「ヴィクターの手記」の捜索。第一の手がかりは、アフガニスタン奥地。ロシア帝国軍の司祭にして天才的屍者技術者アレクセイ・カラマーゾフが突如新型の屍者とともに。その地へ姿を消したという。彼が既に「手記」を入手し、新型の屍者による王国を築いているのだとしたら?

フライデーと共に海を渡るワトソン。しかしそれは、壮大な旅のはじまりにすぎなかった。イギリス、アフガニスタン、日本、アメリカ、そして最後に彼を待ちうける舞台は? 「ヴィクターの手記」をめぐるグレートゲームが始まる!

細谷佳正(ジョン・H・ワトソン役)

「ワトソンは、屍者を労働力として再利用するのが当たり前になっている世の中で、人格のないロボットのような存在として屍者が登場します。ワトソンは亡くなった親友の魂と人格を取り戻すため「ヴィクターの手記」を探す旅に出るのですが、その中で、自分の成そうとしている事に対して葛藤しながら進んでいくキャラクターです」

[スタッフ]
原作=「屍者の帝国」伊藤計劃×円城塔(河出文庫)
監督=牧原亮太郎 
脚本=瀬古浩司、後藤みどり、山本幸治
キャラクター原案=redjuice キャラクター設定=千葉崇明 
総作画監督=千葉崇明、加藤寛崇
色彩設計=橋本賢 美術監督=竹田悠介 
3D監督=西田映美子 撮影監督:田中宏待 編集=肥田文 
音響監督=はたしょう二 音楽=池頼広
主題歌=「Door」EGOIST(ソニー・ミュージックレコーズ)
アニメーション制作=WIT STUDIO
制作=Project Itoh

[キャスト]
細谷佳正、村瀬 歩、花澤香菜、楠 大典、三木眞一郎、山下大輝、大塚明夫、菅生隆之

[CV]
ジョン・H・ワトソン=細谷佳正
フレデリック・バーナビー=楠大典
アレクセイ・カラマーゾフ=三木眞一郎
フライデー=村瀬歩
ニコライ・クラソートキン=山下大輝
ハダリー・リリス=花澤香菜
M(エム)=大塚明夫

日本映画/120分
英題=THE EMPIRE OF CORPSES(2015)IMDb
日本公開=2015年10月2日
配給=東宝映像事業部
公式サイト project-itoh.com

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映画『屍者の帝国』日本版ポスター


©Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES

映画『虐殺器官』

©Project Itoh /GENOCIDAL ORGAN
原作は「一人称で戦争を描く。主人公は成熟していない、成熟が不可能なテクノロジーがあるからである」というコンセプトで書き進められたという。リアルで鮮烈な戦闘シーンと内省的で繊細な心理描写の両面を描くことが出来る映像作家・村瀬修功と、『Ergo Prxy』のスタジオmanglobeが組んだ。

映画『虐殺器官』あらすじ

9.11以降、テロとの戦いを経験した先進諸国は、自由と引き換えに徹底的なセキュリティ管理体制に移行することを選択し、その恐怖を一掃。一方で後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加。世界は大きく二分されつつあった。

「虐殺を引き起こす器官」の真実

クラヴィス・シェパード大尉率いるアメリカ情報軍特殊検索群i分遣隊は、暗殺を請け負う唯一の部隊。戦闘に適した心理状態を維持するための医療措置として「感情適応調整」「痛覚マスキング」等を施し、更には暗殺対象の心理チャートを読み込んで瞬時の対応を可能にする精鋭チームとして世界各地で紛争の首謀者暗殺ミッションに従事していた。

そんな中、浮かび上がる一人の名前。ジョン・ポール。数々のミッションで暗殺対象リストに名前が掲載される謎のアメリカ人言語学者だ。彼が訪れた国では必ず混沌の兆しが見られ、そして半年も待たずに内戦、大量虐殺が始まる。そしてジョンは忽然と姿を消すという。彼が、世界各地で虐殺の種をばら撒いているのだとしたら。クラヴィスらは、ジョンが最後に目撃されたというプラハで潜入捜査を開始する!

中村悠一(クラヴィス・シェパード役)

「この作品のオーディションを受けたのは昨年2014年。当時34歳の自分は、このタイミングで伊藤計劃氏の作品へ参加できるかもしれないという事に、不思議な縁を(勝手に!)感じていました。戴いたクラヴィスという人物。お話は彼が中心となって描かれています。軍人であるクラヴィスが自身の世界で何を感じどう行動していくか。たった一つの言葉が生み出すもの。ほんの少し、自分の今いる場所から、壁一枚隔てた先で現実に存在する『死』というものを彼が認識した時、『虐殺器官』と出会った時に、一体何を思うのか。観終わった後、幾通りもの解があると思います。ハッピーエンド? バッドエンド? 全てを劇場で確かめていただければ幸いです。そして世界は『ハーモニー』へ。」

映画『虐殺器官』(村瀬修功監督)

[スタッフ]
原作=「虐殺器官」伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督・脚本=村瀬修功 キャラクター原案=redjuice
デザインワークス=荒牧伸志/山根公利/臼井伸二/神宮司訓之/山田正樹
美術監督=田村せいき 色彩設計=茂木孝浩 
撮影監督=山田和弘、中西康祐 CGディレクター=増尾隆幸
アフレコ演出=長崎行男 編集=長坂智樹
音楽=池 頼広
主題歌=「リローデッド」EGOIST(ソニー・ミュージックレコーズ)
アニメーション制作=manglobe → ジェノスタジオ
制作=Project Itoh

[キャスト]
中村悠一 三上 哲 石川界人 梶 裕貴 小林沙苗 大塚明夫 櫻井孝宏

[CV]
クラヴィス・シェパード=中村悠一
ウィリアムズ=三上哲
リーランド=石川界人
アレックス=梶裕貴
ルツィア・シュクロウポヴァ=小林沙苗
ロックウェル大佐=大塚明夫
ジョン・ポール=櫻井孝宏

日本映画/115分 R指定
英題=GENOCIDAL ORGAN(2015)IMDb
日本公開=2015年11月13日 → 延期 → 2017年2月3日[金]より
配給=東宝映像事業部
公式サイト project-itoh.com

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映画『ハーモニー』

©Project Itoh /HARMONY

来たるべき優しきディストピアが描かれた「ハーモニー」の刊行は2008年。病に倒れた伊藤計劃は、本作を遺して2009年、この世を去る。
クリエイターのセンスを生かしたエッジのきいた映像で、世界のファンをうならせてきたStudio4℃と、『AKIRA』の作画監督として世界に知られたなかむらと、アメリカ出身で『鉄コン筋クリート』を監督したアリアスのコンビが監督を担う。

映画『ハーモニー』あらすじ

「大災禍」と呼ばれる世界規模の混沌から復興した世界。かつて起きた「大災禍」の反動で、世界は極端な健康志向と社会の調和を重んじた、超高度医療社会へと移行していた。

優しさと慈愛に満ちたまがい物の世界

そんな優しさと慈愛に満ちたまがい物の世界に、立ち向かう術を日々考えている少女がいた。少女の名前は御冷ミァハ。世界への抵抗を示すため、彼女は、自らのカリスマ性に惹かれた二人の少女とともに、ある日自殺を果たす。

13年後、霧慧トァンは優しすぎる日本社会を嫌い、戦場の平和維持活動の最前線にいた。霧慧トァンは、かつての自殺事件で生き残った少女。平和に慣れ過ぎた世界に対して、ある犯行グループが数千人規模の命を奪う事件を起こす。

犯行グループからの世界に向けて出された「宣言」によって、世界は再び恐怖へと叩き落される。霧慧トァンは、その宣言から、死んだはずの御冷ミァハの息遣いを感じ取る。トァンは、かつてともに死のうとしたミァハの存在を確かめるため立ち上がる。

沢城みゆき(霧慧トァン役)

「こんなにも単品で、命のことだけ取り扱った物語を私は見たことがありません。戦争や病気、家族といった他の要素を何も纏わない、剥き出しの、命の、命の意志のお話。その化身の様にして劇中存在するミァハを心が強烈に警戒するせいで、ちっともトァンの印象が残りません。あんなに喋ったのに!(笑)」

[スタッフ]
原作=「ハーモニー」伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督=なかむらたかし、マイケル・アリアス
脚本=山本幸治 キャラクター原案=redjuice
演出・CGI監督=廣田裕介 キャラクターデザイン・総作画監督=田中孝弘
プロップデザイン・作画監督=竹内一義
メカデザイン・エフェクト作画監督=渡辺浩二
色彩設計=成毛久美子 美術監督=狹田修、新林希文
編集=重村建吾 音楽=池 頼広 録音演出=名倉靖
音響デザイン=笠松広司
主題歌=「Ghost of a smile」EGOIST(ソニー・ミュージックレコーズ)
アニメーション制作=STUDIO4℃ 制作=Project Itoh

[キャスト]
沢城みゆき、上田麗奈、洲崎 綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

[CV]
霧慧トァン=沢城みゆき
御冷ミァハ=上田麗奈
零下堂キアン=洲崎 綾
オスカー・シュタウフェンベルク=榊原良子
アサフ=大塚明夫
エリヤ・ヴァシロフ=三木眞一郎
冴紀ケイタ=チョー
霧慧ヌァザ=森田順平

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日本映画/120分
英題=HARMONY(2015)IMDb
日本公開=2015年12月4日 → 2015年11月13日
配給=東宝映像事業部
公式サイト project-itoh.com

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