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映画『恋人たち』橋口亮輔監督「新人賞輩出が僕の役割」

映画『恋人たち』の橋口亮輔監督と篠原篤、第89回キネマ旬報ベスト・テン表彰式

映画『恋人たち』の橋口亮輔監督と篠原篤

[シネママニエラ]第89回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が2月13日に開催され、作品賞・監督賞・脚本賞・新人俳優賞(篠原篤)を受賞した映画『恋人たち』の橋口亮輔監督が式に出席し「新人賞輩出が僕の役割」だと、同作の製作経緯と映画人としての思いに触れた。

映画『恋人たち』の橋口亮輔監督

2015年 第89回キネマ旬報ベスト・テン一覧

低予算かつ小規模公開作品ながら歴史ある賞に輝いた本作。橋口監督は「ありがとうございます。キネマ旬報の賞は、映画を志すものならば一生に一度は!という賞。うれしく思います。最初から本作は作品賞をとるような作品にはならないものと思っており、僕の役割は新人賞を輩出することだと思っていました」として、その最初の志が叶い「新人賞に篠原篤と聞いたときはとてもうれしかったです」と顔をほころばせた。30代の新人賞俳優・篠原篤「続けて良かった」

同作はアツシ(篠原篤)、瞳子(成嶋瞳子)、四ノ宮(池田良)という心に傷を抱えながらも幸せを求めて生きるキャラクターの姿を捉え、失ってはじめて当たり前の日々のかけがえのなさに気づいていくことを描いたドラマ映画。

映画『ぐるりのこと。』を発表したのは7年前。自分も『恋人たち』の主人公のアツシのように、どん底の暮らしだった。松竹ブロードキャスティングの深田誠剛プロデューサーがお弁当を持って訪ねて来てくれて『橋口さん、映画を作りましょう』と繰り返し、誘ってくれた。忍耐強くつきあって、支えてくださった」と振り返る

深津絵里と本木雅弘と篠原篤(全身)

そして無名俳優の起用についても「オーディションを兼ねたワークショップでは、一目見てスターになるっていう人は一人もいなかった。地味な人でも、その人をじっとみていると気持ちの揺れが見えてくる。そうするといとおしくなってくる」と人に寄り添う姿勢を明かした。

だが、本作の「脚本にはワークショップに参加してくれた方々のアイデアも含まれている」ことにも触れ、誰かが見ていてくれることの喜びを交えて、本賞の受賞により「映画界で仕事をやれるなと思わせてくれた」と明るい表情を見せた。

映画『恋人たち』(松竹ブロードキャスティング、アーク・フィルムズ配給)は全国にて上映中

映画『恋人たち』の橋口亮輔監督と篠原篤、第89回キネマ旬報ベスト・テン表彰式

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2015年 第89回キネマ旬報ベスト・テン

日本映画

1位『恋人たち』
2位『野火』
3位『ハッピーアワー』
4位『海街diary』
5位『岸辺の旅』
6位『GONIN サーガ』
7位『この国の空』
8位『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』
9位『母と暮せば』
10位『きみはいい子』
10位『ローリング』

外国映画

1位『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
2位『アメリカン・スナイパー』
3位『アンジェリカの微笑み』
4位『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
5位『黒衣の刺客』
6位『神々のたそがれ』
7位『セッション』
8位『雪の轍』
9位『インヒアレント・ヴァイス』
10位『おみおくりの作法』

個人賞

主演男優賞 
二宮和也『母と暮せば』
主演女優賞 
深津絵里『岸辺の旅』『寄生獣 完結編』

助演男優賞 
本木雅弘『日本のいちばん長い日』『天空の蜂』
助演女優賞
黒木華『母と暮せば』『幕が上がる』『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』
舞台中のため表彰式は欠席。直筆手紙を託す

新人男優賞 
篠原篤『恋人たち』
新人女優賞
広瀬すず『海街diary』

広瀬すず
広瀬すず

「自分にとってまだすごく不思議な感覚なんですけれども。『海街diary』という作品で、是枝裕和監督やお姉ちゃんたちに出会えたことが、自分の人生にとってすごく大きかった。これからももっともっといろいろな映画に出させていただき、(綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)お姉ちゃんたちの背中を追っていきたい」と喜びを語った。
ちなみに是枝監督からは、ネイルをはじめたことなどから、『また色気づいちゃって』と言われていると茶目っ気あっぷりに語り、会場を魅了した。

日本映画監督賞/日本映画脚本賞
橋口亮輔

外国映画監督賞
ジョージ・ミラー 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

「キャスト、スタッフ、クリエイターたちと受賞の喜びを分かち合いたい」(手紙)

読者選出・日本映画監督賞
是枝裕和

読者選出・外国映画監督賞
デイミアン・チャゼル

キネマ旬報読者賞
川本三郎『映画を見ればわかること』

文化映画

1位『沖縄 うりずんの雨』
2位『戦場ぬ止み』
3位『瀬戸黒 ―加藤孝造のわざ―』
4位『“記憶“と生きる』
5位『芭蕉布 ―平良敏子のわざ―』
6位『福島 生きものの記録 シリーズ3~拡散』
7位『生命の誕生 ~絶滅危惧種日本メダカの発生~』
7位『放射線を浴びたX年後2』
9位『日本と原発』
9位『みんなの学校』

ジャン・ユンカーマン監督 『沖縄 うりずんの雨』
ジャン・ユンカーマン監督

「立派な賞をいただきまして光栄です。力を合わせてつくりました。沖縄に対して深い思いがある」
「戦後70周年に発表されました。戦争をもう一度見つめ直す。一番訴えたいことは、沖縄にとっては70年は長すぎること。とても複雑な背景があり、今だけを描くのでは描き切れず、それで(上映時間が)2時間半になってしまった。一日でも早く辺野古の基地建設の撤回、米軍基地の撤退を求めます。アメリカでも上映するので、この賞を励みに頑張りたい」
公式サイト okinawa-urizun.com

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