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第29回TIFF東京グランプリは『ブルーム・オヴ・イエスタディ』が二冠!

[シネママニエラ]第29回東京国際映画祭は11月3日にクロージングセレモニーにて映画『ブルーム・オヴ・イエスタディ』(クリス・クラウス監督)の東京グランプリ獲得を発表して閉幕。過去最高の応募数1,502本の頂点を制した。

クリス・クラウス監督 ©2016TIFF

映画『ブルーム・オヴ・イエスタディ』は、ホロコーストの被害者の孫と加害者の孫の間のロマンスと許しの物語。映画『4分間のピアニスト』で知られるクリス・クラウス監督が、実際にリサーチした中で被害者と加害者の孫世代は楽しそうに交流し、痛ましい過去についても冗談を交えて話す姿を見たことから着想を膨らませて描かれたドラマ。

映画『ブルーム・オヴ・イエスタディ』(クリス・クラウス監督)が東京グランプリを獲得 ©2016 Edith Held / DOR FILM-WEST, Four Minutes Filmproduktion

その痛ましいテーマを含むことから「製作資金を集めるのに時間がかかった」という。しかし3年前に本国(=ドイツ)の脚本賞を得たことで問題が解決。カトリン・レンメ(プロデューサー)は「トトとザジの将来をロマコメのように描くのは不向きだと思った」と同作の結末を強く支持し、そのラストシーンについて「自身のロマンティックな心が反映されているし、登場する赤ん坊には和解と希望のイメージを込めた」のだと監督は話す。

本年のコンペティション部門の映画監督ジャン=ジャック・ベネックス審査員長は、2つのテーマ「痛み」と「愛」を融合させた映画『ベティ・ブルー』の監督であることを踏まえると、この受賞は腑に落ちる。なお、同作はWOWOW賞も受賞したので2冠となる。

ジャン=ジャック・ベネックス監督

(東京グランプリ講評)人間は罪を犯します。それは人間の性なのかもしれません。一人ひとりがそれを背負って生きています。そして映画はその時の悲 劇の瞬間を描写します。しかし生き証人は消え、思い出も消えていきます。卓越した映画作りとは、それをものともせず、過去の罪 を正しい視点で見せるものです

映画『ブルーム・オヴ・イエスタディ』予告編


©2016 Edith Held / DOR FILM-WEST, Four Minutes Filmproduktion

第29回東京国際映画祭の受賞結果

コンペティション部門

東京グランプリ『ブルーム・オヴ・イエスタディ』
審査員特別賞『サーミ・ブラッド』
最優秀監督賞 ハナ・ユシッテ監督『私に構わないで』
最優秀女優賞 レーネ=セシリア・スパルロク『サーミ・ブラッド』
最優秀男優賞 パオロ・バレステロス『ダイ・ビューティフル』
最優秀芸術貢献賞『ミスター・ノー・プロブレム』

ジャン=ジャック・ベネックス監督

(コンペティション部門の総評)作り手のビジョン、スピード感のあるグローバリズムなど、さまざまな視点を見ることができました。映画の作り手は時代の証人でもあ りキャストでもあると思います。映画を見て、観客は世界をより広く知ることが出来ます。この16作品をみていて、普遍性ではなく、 人種差別、寂しさ、フェシズム平等性、正義感など、互いに違いがあるということを見せ付けられました。人間性の最大の遺産は “違う”ということです。文化の違い、考え方の違い、そして人間性の美しさを見出しながらお互いに寛容な気持ちでお互いを尊重 しながらそこで初めて希望がうまれ平和な世界が生まれるのではないでしょうか

アジアの未来部門

作品賞 『バードショット』
国際交流基金特別賞 アランクリター・シュリーワースタウ監督『ブルカの中の口紅』

日本映画スプラッシュ部門

作品賞 『スプラッシュマン』

WOWOW賞『ブルーム・オヴ・イエスタディ』
観客賞 『ダイ・ビューティフル』

SAMURAI(サムライ)賞 マーティン・スコセッシ、黒沢清
ARIGATŌ(ありがとう)賞 新海誠、高畑充希、妻夫木聡、ゴジラ

映画『ブルーム・オヴ・イエスタディ』(クリス・クラウス監督)

第29回東京国際映画祭は2016年10月25日[火]より11月3日[祝]まで
公式サイト http://2016.tiff-jp.net/ja/
公式SNS Twitter | Instagram | facebook

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