アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ』来日会見

アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ』誕生の裏側を来日会見で明かす

アカデミー賞 溺愛×偏愛シネマ
アン・リー監督
アン・リー監督

[シネママニエラ] ストーリーテリングに秀でたアジアの巨匠のひとりであるアン・リー監督をもってしても、「ブッカー賞受賞小説「パイの物語」を実写映画化した『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』は難題だった」そうだ。「(本作の)製作に4年を要したし、キャリアの中で最も難しかった」と、来日会見の場で打ち明けるのだから。

少年パイはいかにして漂流生活を生きぬいたのか

副題の「トラと漂流した227日」の日々について、大人になったパイが過去を回想するかたちで描かれる本作。監督は「トム・ハンクスのような演技派俳優が演じてくれれば、監督の苦労はない。少年とトラに頼った」と苦笑いするほどだ。

「少年パイを演じたのは、演技未経験。けれども、彼の純粋さが、(アン・リー監督にも)映画作りの初心を思い起こさせてくれたし、彼よりも我々が彼から学ぶことの方が多かったと思う」というのだから、まさに奇跡の物語の誕生の裏にある奇跡と言えるだろう。

そのキャスティングについても話してくれた。「16歳のインド人で映画スターはいないので、インド国内の学校を訪れるなどして探した。約3,000人から最終的に12人に絞り込んだ。(パイ役の)スラージ・シャルマとは、ムンバイで対面したときに、一目見て『あ、パイだ』と思ったんだ。ところが、起用した後にとんでもないことが分かった。漂流生活を描く中で泳ぐシーンがあるというのに、デリー育ちの彼は泳ぎができないというものだから(笑)、撮影前に演技と水泳のレッスンをしたんだ」

演技初心者ということから、漂流シーンは撮影スケジュールの後半にして、ほぼ順撮りにした。スタントを使わずに、スラージは実際に減量し身体をしぼっていったのだという。大海原で正気を保たねばならない状況を演じるためにも、彼がスタジオでスタッフと接することを極力控え、孤立させていったとも。

「信仰というものは、外で感じるものか内に宿るものか。少年のサバイバル体験は、抽象的な神と向き合うことになる。そういったことから『イノセンスとは何か』といったことにまで踏み込んでいくことになる。劇中ではシンボルになるものを入れているけれど、それを今ここで私が言葉にしたのではつまらない。ぜひご覧になって見つけてもらいたい」というメッセージを寄せた。

映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』予告編[HD]

原題=Life of Pi
日本公開=2013年1月25日
配給=20世紀フォックス映画
公式サイト http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/
©2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM

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