映画評論家・町山智浩『第三の男』を題材に「映画の悪役

映画評論家・町山智浩『第三の男』を題材に映画の悪役を解説

映画会見/イベントレポート

[シネママニエラ]第二回 新・午前十時の映画祭の特別企画として、映画評論家でコラムニストの町山智浩氏が語る20世紀名作映画講座が9月15日、東京のTOHOシネマズ日本橋にて開催された。映画上映×講演という約4時間に及ぶロングイベントとなった。

映画評論家・町山智浩『第三の男』を題材に「映画の悪役

町山氏は、オーソン・ウェルズ主演、キャロル・リード監督の傑作サスペンス映画『第三の男』(1949年イギリス映画/原題=THE THIRD MAN)の上映前に観客の前に登場し、この日は同作を一緒に鑑賞すること、そして上映後には、鑑賞者からの質問・感想を求めた上で、作品論を中心とした「映画における悪役」というテーマでトークすることを述べた。

観客からは「本作が傑作とされる理由がいまひとつ分からない」という率直な感想や、時代背景、企画裏話、撮影手法といったことから宗教的な側面、それに螺旋階段、無言電話、動物の多用、ラストシーンの意図にまで質疑は及ぶ。客席も町山氏の問いに応じるなど積極的な姿勢で臨んでいたことが印象的だ。

そして、本作が劇中でオマージュを捧げている作品にも言及。例えば、フリッツ・ラング監督作で幼女連続殺人鬼を追い詰める物語のドイツ映画『M』(原題:=M – Eine Stadt sucht einen Mörder)の風船売りの男性のシーン、それに「人殺し!(マーダー!)」と叫ぶ少年を登場させたことを語った。

逆に本作がハブ(軸)となり、後世で影響が見受けられる作品として、映画『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』『ディパーテッド』等の洋画はもちろん、日本のドラマ「MOZU Season1〜百舌の叫ぶ夜〜」「MOZU Season2〜幻の翼〜」における無言電話や悪役キャラを例に挙げるなど、町山氏は豊富な知識と巧みな話術で楽しませ、観客は終始感嘆の様子。

映画における悪役について、ニーチェの言葉を引用し、頭脳は明晰だが魂が狂っている悪役キャラによる、効果的な攻撃法は価値観を崩壊させることだという持論を明かした。なお本記事はごくごく一部であり、この講義の内容は、映画祭公式サイトにて動画配信される。

第二回 新・午前十時の映画祭
会期=2014年4月5日から2015年3月20日
主催=一般財団法人映画演劇文化協会
公式サイト http://asa10.eiga.com/
上映スケジュールはグループで異なります。詳細は公式サイトにてご確認願います。

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