映画『記憶の中のシベリア』孫視点による抑留・戦争

長野在住の久保田桂子監督の劇場初公開作品で、第二次大戦後のシベリア抑留にまつわる二つのドキュメンタリー映画『祖父の日記帳と私のビデオノート』と『海へ 朴さんの手紙』を『記憶の中のシベリア』というタイトルで上映する。

映画『記憶の中のシベリア』チラシビジュアル

久保田監督は、美術大学で劇映画の製作を学んだ後、ドキュメンタリーの制作をスタート。日常を繊細に捉える視点と、エッセイを読んでいるような独特の描写が評価され、第1作『祖父の日記帳と私のビデオノート』は、映画監督の諏訪敦彦、ヤン・ヨンヒらが審査員を務めた、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル コンペティション部門で大賞を獲得している。

映画『祖父の日記帳と私のビデオノート』

祖父について思い出すこと、それはいつも畑を耕す姿。その祖父には中国での戦争やシベリア抑留の体験があった。祖父は遠い大地で人を殺めたことがあるのか。最後まで百姓として生きた祖父とその戦争の記憶を、孫である私(=監督)の眼を通して描く。
(2013年/日本映画/デジタル/40分)

映画『海へ 朴さんの手紙』

シベリア抑留を経験した元日本兵の朴道興(パク・ドフン)さんが戦友・山根秋夫さんへ宛てて書いた手紙についての物語。
ソウルに暮らす朴さんはかつて日本兵だった。朴さんはシベリア抑留を経験していた。彼は日本軍で一緒だった日本人の親友、山根さんに宛てて何度も手紙を送ったがそれが届くことはなかった。私は二人が別れてから60年後、その手紙を届ける旅に出た。
(2016年/日本映画/デジタル/70分)

シベリア抑留とは
第二次世界大戦の終戦後、武装解除され投降した日本軍捕虜らが、ソ連によっておもにシベリアに労働力として移送隔離され、長期にわたる抑留生活と奴隷的強制労働により多数の人的被害を生じたことに対する、日本側の呼称。
このソ連の行為は、武装解除した日本兵の家庭への復帰を保証したポツダム宣言に背くものであった。ロシアのエリツィン大統領は1993年10月に訪日した際、「非人間的な行為に対して謝罪の意を表する」と表明した。


映画『記憶の中のシベリア』予告編


映画『記憶の中のシベリア』(スリーピン 配給)は2016年10月8日[土]より新宿K’s cinemaにて公開
公式サイト http://siberia-memory.net/
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