映画『朝が来る』(河瀨直美監督)

永作博美×井浦新の夫婦役『朝が来る』一本の電話で運命が動き出す

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永作博美×井浦新の夫婦役『朝が来る』一本の電話で運命が動き出す

永作博美と井浦新が夫婦役を演じ、直木賞作家著のヒューマンミステリーを、河瀨直美監督が映画化した『朝が来る』は、一本の電話から、二人の母と子の運命が動き出す様を捉えた作品。

映画『朝が来る』(河瀨直美監督)
栗原清和と佐都子
©2020『朝が来る』Film Partners

実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てることができなかった14歳の少女を繋ぐ「特別養子縁組」によって、新たに芽生える家族の美しい絆と胸を揺さぶる葛藤を描く。

2019年4月16日に都内で撮入し、東京の湾岸エリア、栃木、奈良、広島、似島(広島市)、横浜と日本全国6か所で撮影。6月上旬に撮了した。

永作博美さん(栗原佐都子役)

自らの人生の中でも岐路というのは本当に究極の選択の様なものばかりでいつも「試されてるな…」と感じる。それをフィクションの中でフルに実践している河瀬監督の撮影手法に驚き、いつ撮影は始まったのか…何が本当なのか…現場で1つになった心臓の音がいつもドックンドックン響いていた。皆がその静寂にどう在るのか考えただけでまた心臓が鳴ります。

井浦 新さん(栗原清和役)

12年ほど前に、奈良から京都への電車の中で河瀨直美監督と初めて出逢いました。柔らかくも鋭く自分の内側に語りかけ、眼差しは心の中を見つめられてるようで、電車に揺られ話した時間は今も鮮烈に記憶に残っています。今回、河瀨組への初参加の機会をいただき、あの日から積みあげられた想いを全開で挑みました。河瀨監督の現場は、どう芝居をするかではなく、どう“生きるか”が求められます。それができる環境を監督を始めスタッフの方々皆が徹底して作り上げてくれました。その中で俳優部は魂を擦り減らしながら生をぶつけ合う。このように作品への、人間への、深い愛に溢れた現場で生きることで、生命を育む地球の記憶についてまで再発見する事ができ、とても感動しました。
12年前に河瀨監督から聞かれた「あなたはどんな人間ですか?」この問いに少しでも答えられるよう全身全霊の日々でした。今もその言葉は自分を突き動かす原動力となっています。

蒔田彩珠さん(片倉ひかり役)

原作を読んだ時、ひかりに起こった事は、誰に起こってもおかしくない事だと、感情移入しすぎてしまい、辛かったです。私がひかりの気持ちを背負うことで、ひかりを傷つけてしまうんじゃないかと不安にもなりましたが、撮影が進む中で、自分がひかりになったと感じた瞬間があり、とても強い心を持つことができました。この映画を通して、私と同世代の方々をはじめ多くの人に、人間の強さや弱さ、優しさ、命について深く考えるきっかけになれば、嬉しいです

浅田美代子さん(浅見静恵役)

久しぶりに河瀨組…正直怖かった。何故なら河瀨監督には嘘(お芝居)は通用しないから。『その役に生きる‼️』撮影期間中はずっと「浅見」で過ごした…そしてクランクアップ、「浅見」が私の中から出て行った時、新しい私が生まれた瞬間だった。縁というものにより河瀨監督と出会えたこと幸せだと心から思う。

河瀨直美さん(監督・脚本)

撮影中、涙する場面に遭遇する時がある。それは、俳優達がその日常を生きて、脚本からもはみ出る感情を発露させた瞬間。こういった現場は自分にとっても稀だと実感している。とにかく俳優が素晴らしい。生きているのだ。息づいているのだ。日本全国6か所のロケ場所で撮影は決行されている。海があり、森があり、都市があり、旧所名跡があり、それぞれの街の特長が四季を通して旅の記録を「記憶」するように映画を創っている。生まれるはずのなかった命はやがて望んでも我が子を授からない夫婦の元にやって来る運命。そこに差し込む光、眩いばかりのそれが、雨上がりの世界を浄化させてゆく光景と相まって、人々の運命を切り開く物語。
原作『朝が来る』をこの世界に誕生させた辻村深月の才能に嫉妬する。その物語を映画化できる喜びに打ち震えている。小説の中で、二人の母をつなぐ子供「朝斗」のまなざしが表現されている部分を読んだとき、ああ、この世界を映像化できれば素晴らしいなと感じた。その「まなざし」が見る未来を美しく描くことができればと願っている。
誰しもが誰かの「子」であり、「母」から生まれてきた事実を思えば、この物語の根幹で心揺さぶられる感情があるだろう。そこには、この世界を美しいと想える、無垢な魂が見た、世界の始まりがある。

辻村深月さん(原作者)

「この映画を撮るにあたって、朝斗のまなざしというものは必要不可欠だと思っています」
河瀨直美監督と初めてお会いしたホテルのラウンジで、正面に立った監督が開口一番、私をまっすぐに見つめて、そう言った。まだ互いに自己紹介もしていない、目が合った瞬間のことだった。
原作『朝が来る』はよく、産みの母親と育ての母親、「二人の母の物語」だと言われてきた。しかし、河瀨監督はそこに、幼い「朝斗」のまなざしなくしては成立しない世界をはっきり見ておられた。
その瞬間、震えるような感謝とともに、この人に、朝斗と二人の母親を、『朝が来る』の世界を託したい、と強く思った。
脚本を読みながら、河瀨監督に何度も感謝を覚えた。それは、彼らの物語を最初に生み出した私以上に、朝斗の、ひかりの、佐都子の、清和のことを考え、彼らの思いがより強く届くためにどうしたらよいのかを、心を砕いて考えてくれている人がいるということに対する途方もない感謝だ。作家として幸せを感じた。
ラスト、「原作でもこうすればよかった」と思える構成がある。けれど私が小説で書いてもきっとその光景には届かなかった。映画だからこそ監督が彼らをここに送り届けてくれたのだということが、はっきりわかる。
 映画『朝が来る』。私が見たもの、河瀨監督がその先に見たもの、幼い子ども「朝斗」が見た世界を、できることなら、あなたにもぜひ見てほしい。

映画『朝が来る』(キノフィルムズ/木下グループ 配給)は2020年6月5日[金]より全国公開
©2020『朝が来る』Film Partners

映画『朝が来る』ポスタービジュアル
映画『朝が来る』ポスタービジュアル
©2020『朝が来る』Film Partners

映画『朝が来る』あらすじ

「子どもを返してほしいんです。」平凡な家族のしあわせを脅かす、謎の女からの1本の電話。この女はいったい何者なのか。一度は子どもを持つことを諦めた栗原清和と佐都子の夫婦は「特別養子縁組」というシステムを知り、男の子を迎え入れる。それから6年、夫婦は朝斗と名付けた息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。ところが突然、朝斗の産みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性から、「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話がかかってくる。当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心優しい少女だった。渦巻く疑問の中、訪ねて来た若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。いったい、彼女は何者なのか、何が目的なのか──? (2020年/日本映画)
原作 辻村深月 『朝が来る』(文春文庫) 監督・脚本 河瀨直美 共同脚本 髙橋泉 製作 キノフィルムズ・組画|出演 永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子 佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮 山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛

映画『朝が来る』特報

©2020『朝が来る』Film Partners

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