黒澤明『七人の侍』は今こそ観るべき映画



[シネママニエラ]既報の通り、日本が誇る名匠・黒澤明監督の映画『七人の侍』が最新技術でよみがえった。至極の映画体験となるこの機会に是非スクリーンでの鑑賞をおすすめしたい。高画質・高音質に生まれ変わった本作は62年ぶりに第73回ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門で上映され好評を博した。

映画『七人の侍』出演を笑顔で語る名優・仲代達矢さん
笑顔の仲代達矢さん

本作は、野武士の無法ぶりに悩む百姓たちに雇われた、7人の侍たち(三船敏郎、志村喬、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二、稲葉義男)の勇姿を描く時代劇。

名優・仲代達矢さんが、黒澤明監督の名作『七人の侍』のフル4Kデジタルリマスター版の披露試写会とトークショーに、黒澤組スクリプター(記録)の野上照代さんと出席し、初の黒澤組出演となった撮影当時を振り返った。この度の修復を行ったのは東京現像所。修復前後の説明資料と写真も提供された。「黒澤さん、三船(敏郎)さんに観せたい」とは野上さんの感想だ。

この度の修復では映像だけでなく音がクリアになったことが大きい。音声はこれまで波形により直していたものを、音声スキャンを行ってオリジナルに近いものに。例えば三船さんが演じる菊千代の叫び「泣き虫で、いじわるで、人殺しだ」などもクリアになり、(普通に)聞き取れる。トークでは公開当時に三船さんの台詞がわからないと言われたことを振り返った一幕も。

映画『七人の侍』撮影秘話の一部を紹介

映画『七人の侍』(黒澤明監督)
映画『七人の侍』 ©1954 Toho Co.Ltd
片山五郎兵衛(かたやまごろべえ)役の稲葉義男さんは、「初めての黒澤組でひとり苦労した。例えば監督に怒られる中で、笑うシーンを撮影したこともあった」。宮本武蔵をモデルにした剣客・久蔵(きゅうぞう)役の宮口精二さんについて「衣装合わせでは配役ミスかと思われたが、動いたらキレ味と鋭さが感じられとても良かった」。ラストのどしゃぶりの雨のシーンは「2月に撮影され、宮口さんのタイミングで(水たまりの地面に)倒れることになり、撮り直す度にお湯をかけられるので、暖かくてうれしいと喜んでいた。何度もテイクを繰り返し、うまくいった時に久蔵の鬘が飛んでしまい、撮り直しを恐れた周りのキャストが慌てて鬘を隠したこともあった(笑)」という撮影秘話も。

仲代さんは19歳の時に本作で黒澤組に初参加した。「生まれて初めてちょんまげ姿になり、刀をさして歩いたところ、歩き方がおかしいと言われた」として当時を振り返り、その芝居は「基本はダイナミックなものが求められたように思う。スタントマンというものがなく、役者本人がやった。いま(の年齢は)83歳で、19歳当時に役者は歩き方で決まると監督に教えられ、(前述の歩き方の問題もあり)数秒歩くシーンの撮影に1日がかりという屈辱的な思いをした」ことは、いい体験だったと笑顔で話す。ちなみに、この日のTシャツは「影武者」。

筆者も大スクリーンで鑑賞したのは今回が初。この日は英語字幕もついており、当時の風習でわからない部分は補うことができた。これまで何度もトライしつつも、残念ながら一気に観られなかった本作(自宅で観るには上映時間が長く、途中で何かと邪魔が入る為)。世界で絶賛される本作の魅力は観た者にしかわかりえない。至福の映画体験が待っている。

こちらのフォトギャラリーには修復前と後がわかる画像も含まれています。

映画『七人の侍』4Kデジタルリマスター版は2016年10月8日より本日11月4日まで「午前十時の映画祭7」にて2週間入れ替え上映
公式サイト http://asa10.eiga.com/

こちらの記事は10月に掲載した記事の再現版です。なお黒澤と黒沢の表記が混在していたものを訂正しました。

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