中島裕翔 映画『僕ごは』市井監督の手紙にあわや号泣!

映画会見/イベントレポート

サプライズ手紙の文面(オフィシャル提供)

市井昌秀監督、映画『僕らのごはんは明日で待ってる』初日舞台挨拶

裕翔くんへ
映画では冒頭の、特に寒かった秩父のデパート屋上のシーン。双眼鏡に手を添えるだけで、あまりの冷たさに手が凍り、貼り付いてしまうほどでしたが、あなたはその痛みに堪えながらも、顔色一つ変えることなく、元気に現場を引っ張ってくれましたね。小春の秘密を知り、片桐はいりさん扮する山崎の前で、気持ちを吐露するシーン。アングルをいくつも変えたので、何度もやらなければいけない中、小春の状況に近い方が身近におられるということで、その方の痛みを想像しながら、あなたは何度もポロポロと涙を流しながら演じてくれましたね。小春が日常に戻り、公園で子供たちをふと見つめるシーン。日常に戻る喜びの涙を流すことに苦労していた優子ちゃんに、「いつまでも待つから」とそっと寄り添っていましたね。裕翔くんは気遣いの人です。よく、ぶっきらぼうな人が実は優しいというギャップが素敵で、得をする人がいます。けれど、中島裕翔は得しません。良い意味で、そのままだから。あまりに自然過ぎて、誰もその気遣いに気づかれない可能性すらあるから。けれど、あなたの他人を思いやる心根の優しさ、座長として現場を推進する芯の強さに、僕含めスタッフ一同、全員が気づいていました。

優子さんへ
まだ小春役に決まっていない時、お会いしましたね。正直、お会いするまでは、スタイルは抜群に良過ぎるし、CMで見る笑顔も実は完全に作り笑顔で、全く人間味の無い人だったらどうしようとソワソワしていました。しかし、そんな不安は杞憂に終わり、お会いして、あなたの片思いだった人の話をやけに細かく聴かせてもらい、即興芝居を通してあなたの日常を見せてもらい、ここに小春がいると気づかせてもらいました。
小春が日常に戻り、公園で子供たちをふと見つめるシーン。日常に戻る喜びを想像し涙することは、とてもとても困難なことだったと思います。そういった部分を少しでも引き出したく、僕は現場で星野源くんの曲をイヤフォンで聴かせましたが、あなたはあまり響きませんでした。そして、優子ちゃんご自身で選ばれた曲は、僕が全く興味の無い女性ボーカルのものだったので、僕はあまりのギャップに正直愕然としました。けれど、最後にはきっちりシーン意図を汲み取ってくれましたね。何度も言われているだろうから恐縮だけど、新木優子は笑顔の人です。無理せず、自然と発するあなたの笑顔が小春に繋がり、さらには、真冬のキツい現場の中、僕含め周りのスタッフ・キャストがどれだけ救われたことか計り知れません。

新木優子、映画『僕らのごはんは明日で待ってる』(市井昌秀監督・脚本)より
©2017『僕らのごはんは明日で待ってる』製作委員会

お二人へ
およそ一年前に顔合わせも兼ねた読み合わせをしたこと、今でもはっきりと覚えています。「感情は考えるものじゃない」「うまくやろうとしないで」「背伸びしないで」「二人の中に葉山亮太と上村小春は既にいるから」と何度も言いましたね。芝居をしない芝居に挑戦したことで、本人と役との境界をあえて曖昧にしたことで、全てを自分事にしなければいけないキツさがあったと思います。お二人が各々自分自身と向き合い、きちんと自分の痛みと捉えて、その場に存在してくれたおかげで、亮太と小春はスクリーンの中でちゃんと生きています。
「僕らのごはんは明日で待ってる」チームの強い結束力も、2月14日の体育祭での奇跡の晴天も、お二人の作品に対して真摯に向き合うひたむきな姿勢があったからこそです。最後まで駆け抜けてくれて、ありがとう。
まだまだ監督として未熟な自分に付いてきてくれて、ありがとう。

映画『僕らのごはんは明日で待ってる』(アスミック・エース配給)は2017年1月7日[土]よりTOHOシネマズ新宿ほか全国公開

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