左から岸部一徳、檀ふみ、小林涼子、中山麻聖、石田法嗣、毎熊克哉、手嶌葵、水谷豊監督

水谷豊、監督作『轢き逃げ』に“映画”と“映画音楽”への想いを込めた

映画会見/イベントレポート

俳優の水谷豊が4月16日、監督第二作となる映画『轢き逃げ-最高の最悪な日-』完成披露試写会に出席し、「映画と映画音楽でできてるのではないかと感じるほど(映画が)好き」だとして、本作に込めた想いを述べた。舞台挨拶には、主演の中山麻聖と石田法嗣、小林涼子、毎熊克哉、檀 ふみ、岸部一徳、手嶌 葵(テーマソング)も参加した。

水谷豊監督
水谷豊監督

本作は、とある地方都市で起こった“轢き逃げ”事件を発端にその渦中、そしてその後、事件関係者7人がそれぞれ、どのような「答え」を見出したのかを描く、7人の人間たちの「心の軌跡」の物語。

水谷監督にとって、監督デビュー作『TAP THE LAST SHOW』(タップ・ザ・ラスト・ショー)に続いて、本作は2作目。しかも、初めて脚本を手がけた。普段の舞台挨拶の立ち位置は中央であることが多いのだが、この日は舞台の上手。そのことから「この位置は圧迫感がなくていい」と清々しい笑顔を見せた水谷監督。それから「”60代で3本映画を撮りたい!”という思いが僕の中にあるのです」と吐露した。

本作のテーマは、プロデューサーたちから「水谷さんの考えるサスペンスが観てみたい」と言われことがきっかけ。「その2日後にアイデアが浮かんで、文字にして分かりやすくしますと」話したそう。それから説明を書き続けた結果、「頼まれまたわけでもなく脚本が完成した(笑)」そうだが、こういう展開をユーモアたっぷりに話して観客を楽しませる。

岸部一徳と水谷豊のかけあいトークは大盛り上がり
岸部一徳と水谷豊のかけあいトークは大盛り上がり

さらには、映画作りの魅力や面白さについて「監督をやることについていくつかわかったことがあります。脚本は全キャストが読みますけれども、監督サイドから見ると役者の大変さがわかります。全スタッフと打ち合わせができるので才能がよく見えます。(監督を)やって良かったです」としみじみ。

そんな水谷監督の思いを耳にしてから、壇は「(水谷は)とにかく俳優として素晴らしいことはよく存じ上げており憧れて尊敬もしていました。世の中の監督に「見習ってください!」と言いたくなるほど、決断力もおありで、絵がキチンとできているので無駄なカットを撮らないんです。途中でカットが足りなくならないかしらと心配もしましたけど、完璧な仕上がりでした」とべた褒め。

岸部は二度目の水谷組。「監督としての魅力はいっぱいあります。純粋なところがあってまっすぐな人です。なおかつ、少しそそっかしいところもありますし、場所が分からない人。それでいていつも挑戦する人。僕だったら60過ぎて監督なんて絶対にやりません。常に挑戦で頭が下がります」と賛辞を送る。

すると、水谷監督は照れ隠しか「(岸部が)しゃべり終わった時に、ちょっと笑っていませんでしたか?」とナイスな突っ込み。さらに「サリー時代(ザ・タイガースの岸部のこと)を知っていて大ファンでしたから、感激します。俳優としては“唯一無二”が、一徳さんにふさわしい表現だと思います」とエールを返した。

左から小林涼子、中山麻聖、石田法嗣、毎熊克哉
左から小林涼子、中山麻聖、石田法嗣、毎熊克哉

大御所が揃った本作で、若手は若手らしさを発揮していく。中山は「監督が(お手本となる)お芝居を一度見せてくれて」と明かし、石田は「現場で監督がやさしくて大好きになりました」と笑顔を見せていた。水谷監督は、そんな二人の魅力について「オーディションで最後に決めるときに、直感でした。撮影をしている間に、自分が彼らを選んだ理由がわかってきました」と明かす。

そして、小林は「私にとって最高の日です」とタイトルに絡めて喜びを表現し、毎熊は「水谷さんに出会うことができて、念願の刑事役」だと喜びをかみしめていた。さらに、小林は監督から軍資金をいただき「神戸牛を4人(小林、中山、石田、毎熊)でいただきました」と語り、「おいしかった」とニッコリ。和気あいあいとした雰囲気でトークは進んだ。

水谷監督は、締めの言葉で「思えば僕は、子どもの頃からたくさんの映画を観てきました。さまざまジャンルの映画に心動かされ感動して育ってきました。そして、映画音楽も好きでした。僕の半分は映画と映画音楽でできてるのではないかと思うぐらいです。そんな映画を観る側だった僕が映画に出る側になり、今度は映画を作る側になり、気づいたことがあります。僕が今まで心を支えてきた映画になることを、観客の皆さんが同じ思いになってもらえることを願っています」と観客に託した。

■試写会でのサプライズ演出も!

華々しく行われた完成披露舞台挨拶の後、約2時間の『轢き逃げ-最高の最悪な日-』上映が終わりにさしかかり、しんと静まった会場にて、スポットライトともに登場した手嶌。サプライズでエンドロールにあわせてテーマソング「こころをこめて」を生歌唱した。さらに熱唱が終わった後、水谷監督が登壇し、手嶌に花束贈呈。

手嶌葵はエンドロールにあわせてテーマソング「こころをこめて」を生歌唱
手嶌葵はエンドロールにあわせてテーマソング「こころをこめて」を生歌唱
©2019映画「轢き逃げ」製作委員会

手嶌は「映画の主題歌を歌うステキな機会をいただけたことに加え、お客様に聴いていただけてとても嬉しかったです」とコメント。

水谷監督は「イメージ以上の素晴らしい歌声で感動しました。この映画のために歌っていただけて嬉しいです。この曲は、自分がこの作品の脚本を書いているうちに、輝が大学生の時の1年間、ずっとこの1曲だけを聞いていて過した曲なので、どんな曲か想像していましたが、暗い事件が起こった最後には、母性で包まれるような音楽をと考えていました。そのイメージにぴったりと合った曲になっていたと思います。この曲のおかげで、記念の一作になりました」とねぎらった。

観客からは大きな拍手が湧き、完成披露試写会は終了した。

映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』(東映 配給)は2019年5月10日[金]より全国公開
©2019映画「轢き逃げ」製作委員会

水谷豊、監督第2作『轢き逃げ 最高の最悪な日』語る
映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』公式サイトhttp://www.hikinige-movie.com/
手嶌葵「Aoi WorksII-best collection 2015~2019-」をAmazonで購入する「こころをこめて」初CD化

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