吉田恵輔監督、第42回ワルシャワ国際映画祭にて

吉田恵輔監督『mentor』をワルシャワで語る

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吉田恵輔監督『mentor』をワルシャワで語る

吉田恵輔監督が、最新作『mentor』について10月10日(現地時間)、第42回ワルシャワ国際映画祭において、ポーランド・ワルシャワの文化科学宮殿にて開催のワールドプレミアに参加。上映後のQ&Aについてレポートする。

吉田恵輔監督、第42回ワルシャワ国際映画祭にて
吉田恵輔監督、第42回ワルシャワ国際映画祭にて
©2026「mentor」製作委員会

ワルシャワ国際映画祭は、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認映画祭。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと並ぶ世界14大映画祭の一つに数えられる同映画祭への日本作品の同部門出品は本作のみで、グランプリをはじめとする各賞の結果は10月17日に発表される予定だ。

2026年10月9日から18日にかけてポーランドのワルシャワで開催されている第42回ワルシャワ国際映画祭のInternational Competition(メインコンペティション部門)に出品した映画『mentor』。10月10日(ワルシャワ時間)には、ポーランド・ワルシャワの文化科学宮殿にて映画『mentor』ワールドプレミアが開催。会場は200名以上の観客で埋め尽くされた。上映中、満員の会場には幾度も大きな笑いが起き、エンドロールが流れると温かく大きな拍手が沸き上がった。続く10月11日にも2度目の上映が実施。「多面性のある映画で、喜劇から悲劇を体験できるのは面白かった」「笑いがたくさん起きた上映で面白かった!」など、時間いっぱい会場から感想・質問が続き、2夜連続でワルシャワの会場が沸いた。

両上映後に行われたQ&Aには吉田恵輔監督が登壇。「今まで10本以上の映画を手がけてきたが、この作品の脚本づくりが最も時間がかかった。キャリアの中でもひときわ思い入れが強い作品だ」と感慨深く語るとともに、2日目の挨拶では「ポーランドの皆さんはリアクションがとても良いので嬉しかったです」と充実した表情を見せた。

吉田恵輔監督 Q&A レポート

Q:この映画の着想はどこから来たか。

A:「数十年前、近所の子どもたちと花火遊びをしていた時に、たまたま近所で火事が起こったことがありました。距離が離れていたから、この花火が原因ではなかったのですが、もしその子どもたちの花火が原因だったらどうなっていたのか、というエピソードから着想を得ました。その当時よりもCGの技術が進み、火事のシーンがリアルに再現できるようになったいま、脚本を書き始めました」

Q:被害者は赦すより、恨みを持つ方が想像しやすい中で、なぜ本作の被害者は赦すような姿勢をとっているのか?

A:「何をしたら加害者は”反省した”ことになるのかということがこの作品のテーマです。反省の形は人それぞれ違うはずなので、まずはその違いを描こうとしました。逆に自分が被害者側だとしても、相手を赦しているのか、まだ恨んでいるのかという状態は、分からないとも思います。なので本作では、埜本は自分を勘違いしている男として描きました」

Q:トラウマを乗り越えるための手段として、アーチェリーはどうやって思いついたのか?

A:「2人は同じ罪を犯し、各々の手段で反省しているわけですが、反省したかどうかを決めるのは自分自身で良いはずなのに、今の世の中は他者が決めていると思います。アーチェリーに頑張りつつも心の中では反省している人と、何も努力しないけど家に引きこもって反省している人とで、どちらが反省しているのだろうという差を作りたいと思ったのです」

Q:コメディとして作ったのか?ユーモアはどうやって入れたのか?

A:「私の映画は重いテーマが多いのですが、本当に好きなのはブラックコメディです。内容に応じてどこまでコメディを入れていいのかを毎回悩んでいます。悲劇と喜劇が共存している映画を今までも作ってきました。悲しんでいる人と笑っている人が映画館で横並びに見ているような作品を作りたいと思っています。観客に感情をおまかせして作っています」

Q:ポーランド映画なら”赦し”よりも”復讐”がテーマになることが多いが、日欧の文化の違いから生まれた視点か?

A:「日本映画は、冒頭に罪があり、中盤に怒りや恨みがあり、最後に赦される映画が多いです。ラストシーンに来るはずの”赦し”のシーンを冒頭にもってきたらどうなるだろう?という発想から『mentor』は生まれました。2つの軸を用意してあり、1つは、自分と反省の仕方が違う人間に対して嫌悪感を抱くということ。もう1つは、”mentor”のように正しいことを言う人は、本当は怪しいのではないか?という視点です」

Q:喪失感や感情的な部分はどうやって作ってきたか?

A:「”喪失”をテーマにした映画をこの数年で数本作ってきました。悲劇から登場人物がどうやって乗り越えていくかという物語を作ってきている中で、悲劇を”見ない”ものにしようとする人物をサブキャラクターに据えることが多くありました。今回はその悲しみに向き合わない人をメインキャラクターに持ってこようと思い、”悲しいけど全然平気”という人物で物語を作ったらどうなるかというのが出発点でした」

映画『mentor』(エイベックス・フィルムレーベルズ、スターサンズ配給)は2026年10月16日[金]より全国公開
©2026「mentor」製作委員会

映画『mentor』ポスタービジュアル
映画『mentor』ポスタービジュアル
©2026「mentor」製作委員会

映画『mentor』あらすじ・作品データ

それは運命の再会だった。15年前に花火遊びでアパートの火事を起こした拓海(末澤誠也)の前に現れたのは、その火事で大火傷を負い、妻子を失った埜本(綾野剛)。恨んで当然の相手なのに、詫びる拓海を優しく包み込む埜本。その不思議な優しさに惹かれ、埜本を”メンター”として慕い急速に距離を縮めていく拓海。一方、拓海とともに火事を起こした龍之介(磯村勇斗)は、アーチェリー競技と出会い、オリンピック日本代表になるという夢を追いかけていた。今の龍之介にとって拓海や埜本との再会は、平穏を揺るがしかねない。埜本に触発されて被害者への謝罪にのめり込む拓海にも、不気味なほどに優しすぎる埜本の態度にも違和感を拭えない龍之介。
やがて事態はまさかの方面に転がり、歪な三角関係は狂っていく。(2026年/日本映画/114分)
監督・脚本:吉田恵輔    
出演:磯村勇斗、末澤誠也、木南晴夏/酒井若菜、川上麻衣子、二村仁弥、黒沢あすか、田村泰二郎/綾野剛 
製作幹事:エイベックス・ピクチャーズ
企画製作:スターサンズ

映画『mentor』予告編

©2026「mentor」製作委員会

映画『mentor』公式サイトhttps://www.mentor-movie.jp/
公式SNS X(旧Twitter )@eiga_mentor| Instagram @eiga_mentor| TikTok ー
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