映画『アイヒマンを追え!』検事長フリッツ・バウアーの執念と極秘作戦の裏側を描く!


ラース・クラウメ監督

ラース・クラウメ[ Lars Kraume ]監督
ラース・クラウメ[ Lars Kraume ]監督
©Lena Kiessler
フリッツ・バウアーはとても非凡な人物で、映画の主人公向きの燦然と輝く人物だ。ホロコーストについて話したがらないほとんどの犠牲者たちと取る行動がまったく違う。圧倒されてしまうようなとてつもない圧力を受けるのに、それでもナチス党員たちを告発しようとする。それは復讐ではなく、人本主義的精神、そして人々を教育したいという意識から。波乱に富んだ彼の人生でとりわけ緊迫に満ちたアドルフ・アイヒマンの追跡を核に据えたのは、第二次世界大戦後に悲観し、打ちひしがれてドイツに戻ってきたけれど、「意識の風化」との闘いに自身の存在意義を見いだした男の贖罪の物語を語りたかったからだ。フリッツ・バウアーのさまざまな伝記はもちろんのこと、たくさんの本を読んだ。バウアー一派の最後の生き残りである検察官のゲルハルト・ヴァイス(Gerhard Wiese)とも会った。知識にあふれた鋭く優秀な人物で、フランクフルトの当時の検察局の状況や上司としてのバウアーがどういう人だったのかを教えてくれた。すごく参考になったよ。それに加え、フリッツ・バウアー研究所の職員たちと何度も濃密で触発されるやりとりをした。
 我々が21世紀になってもフリッツ・バウアーから学べることはたくさんある。考えうる限りの圧力があったとしても、大義のために邁進することに勇気をもち、粘り強くゴールを目指すべきということ。フリッツ・バウアーは「復讐に燃えるユダヤ人」として反対勢力にあい、生涯にわたり手強い敵に囲まれ続けた。ドイツ当局はひとりも彼に協力したがらず、あの手この手で彼を妨害しつづけた。「執務室を出ればそこは敵のいる外国だ」という伝説的なこの声明は彼から出てきたものだ。それにも関わらず、最後に彼は成し遂げた。僕にとっては真のヒーローなんだ。この映画にはサスペンスがある。アウトサイダー対全権力、という古典的な闘い―――これは架空の漫画の世界じゃなく、本当にあったことだ。簡潔に言えば、感情に訴えかけてくる、時代を問わず人々を鼓舞し続けるヒーローの物語なんだ。

映画『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(クロックワークス、アルバトロス・フィルム配給)は2017年1月よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

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