塚本晋也監督『野火』ジャングル撮影の苦労や創意工夫を明かす

映画会見/イベントレポート

映画『野火』日本外国特派員協会試写会と記者会見
(左から)塚本監督と森優作
[シネママニエラ]鬼才・塚本晋也監督の最新作『野火』の特別上映会が日本外国特派員協会にて行われ、監督は上映前と上映後に登壇し自主制作ならではの創意工夫を語った。上映後の質疑応答には俳優の森優作も出席し、英国留学の経験をいかして英語・日本語で端的に返答してみせた。

本作は大岡昇平著の戦争文学をベースに、第二次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島における極限状態の日本兵の姿について田村一等兵(塚本監督)の視点で捉えた作品。日本でも英語字幕付きの上映が実施される(詳細は公式サイトにて)。

外国人記者からの質問は、同じ原作を基にした市川崑監督が撮ったフィルム作品と、デジタル技術を駆使した戦争映画『永遠の0』を例にあげ、映像表現としての本作について、戦闘シーン、(安保法案閣議の時勢を含ませた)政治的な側面からの危機感、極限における食人行為に対する見解を問うものなど多岐にわたった。

製作時の監督のコメントを再掲する。「映画は一定の思想を押し付けるものではありません。感じ方は自由です。しかし、戦争体験者の肉声を体にしみ込ませ反映させたこの映画を、今の若い人をはじめ少しでも多くの方に見てもらい、いろいろなことを感じてもらいたいと思いました。そして議論の場に使っていただけたら幸いです」

映画『野火』は、2015年7月25日より渋谷・ユーロスペース、立川シネマシティほか全国公開

森優作(青年兵・永松役)

「演技経験が多くないので、フォーカスしたのは監督の指示で、それだけにエネルギーを注いだ」

塚本晋也監督・脚本・編集・撮影・製作(主演・田村一等兵役)

「僕は昭和の真ん中ごろに生まれた人間。戦争は絶対にしてはならないものだという考えが当たり前だと思っていた。だから最初は普遍的なテーマを豊かな原作を使って描けたらと思っていた。僕の大好きな映画『プライベート・ライアン』では、モノクロで過去を回想していくが、本作では戦争はつくづく嫌なものだと感じ、今を意識してもらえるよう極彩色にした。鑑賞後はぐったりすると思うけれども、その2、3日後に沸きがるものがあると思う」
「題材として大規模にできればよかったけれども、資金が集められなかった。フィリピンロケを敢行したのは大自然のダイナミックさが必須だった為。田村一等兵の視点で描くこと、敵兵が見えないスタイルは当初から構想していた。資金が足りないからシンプルになったわけではなく、必要なものだけで出来上がったと思う。都市と人間を撮ってきたので、ジャングルは想像以上に大変だった。機材も自分たちで運び、痩せた兵隊役でお腹がペコペコの中で、何度も走るシーンを撮るという過酷さがあった。日本での撮影はボランティアの皆様に助けていただけた」
「(リリー・フランキー、中村達也、中村優子、山本浩以外の)配役は、痩せることができて、ヒゲが伸ばせるという条件でTwitterで募集した。資金が潤沢ではないので、スタッフ兼キャストを募ることで費用が膨らむことを避けた。1着購入した軍服を手製で50着に、1丁の銃を基にして20丁つくった。劇中のジープは本物だが、護送車はダンボール製。近くで見ても裏側を見なければダンボールとは分からない出来栄え!」
「原作では、神の存在を持ち出して、(人肉を)食べるか食べないかと苦悶する。マラリアに罹患したり、飢餓である状況に考えるゆとりはなくなり、動くもの=食べものという理性的ではいられなくなったという体験談を耳にした。なかには自分の体からわいているウジを自然と手で掴み口に含むこともあったそうだ」

日本映画/87分
英題=FIRES ON THE PLAIN(2014)
日本公開=2015年7月25日
配給=海獣シアター
公式サイト http://nobi-movie.com/
©SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

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