トム・クルーズ「僕はマッカリー監督の運転手兼パイロットです(笑)」
俳優トム・クルーズが、主演兼プロデュース作品『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(原題 Mission: Impossible – The Final Reckoning )のプロモーションで25度目の来日を果たした。トムとクリストファー・マッカリー監督にとって、11本目のタッグとなる本作について来日会見でのコメントを中心にご紹介する。

トムは、マッカリー監督のことを「マッキュー(トムのSNSでは「McQ」と記載)」と呼んでいる。マッカリーが、監督としてこのシリーズにやってきたのは、シリーズ5作目『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。以降、ふたりのコラボにより『ミッション:インポッシブル』シリーズを盤石にしてきた。なお、ふたりの接点は、『ワルキューレ』(脚本家)からはじまり、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(脚本家)、『アウトロー』へと続く。

そもそもプロデューサーとしての最初の作品に『ミッション:インポッシブル』を選んだのは、トム自身だ。それがシリーズとして、ここまで育った。明日(5月17日)から先行公開の最新作『ファイナル・レコニング』は、『ミッション:インポッシブル』シリーズの8作目であり、1作目に立ち戻り、その後のすべての映画に触れる話になっている。『ファイナル・レコニング』で、トムは「飛行機の翼の上を歩きたい」と言い、監督は「潜水艦のシーンをやりたい」と言い、ミッションのパズルのピースをピタッとあてはめたのであろう秀逸な展開となっている。
イーサン(トム・クルーズ)と彼のチームは、“エンティティ”を止めるために必要なふたつの武器の片割れ、ロシアの潜水艦「セヴァストポル」の“ポドコヴァ”を手に入れようとする。また、もう一つの武器“毒薬”を奪い返すための危険なミッションも併せて描かれる。

©2024 PARAMOUNT PICTURES.
ふたりは、「コロナ渦の隔離期間(パンデミック)はお互いの家族とともに一緒に暮らしていました。一緒に住んで、一緒に車にのって現場に行って……太陽が見られるのは、朝に車まで歩くときだけで、仕事を終えた時は真っ暗でしたね。その間に、3本の映画製作をしました。まず『トップガン マーヴェリック』とそのポスプロ、それに『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の製作、そして『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の準備です」(マッカリー監督)。
この日の会見は、同時通訳のため登壇者の会話が途切れることなく、トムと監督のクロストークを楽しめることとなり、「僕はマッキューの運転手兼パイロットです(笑)」といったお茶目発言も聞けた。以下、やりとりの雰囲気が伝わるだろうか。MCは関根麻里(壇上では流ちょうな英語で進行)。
MC:その運転は、どなたが?
トム&監督:僕らは運転しないよ。
監督:トムが運転するのはカメラがまわっているときだけさ。
トム:でも、時々は運転しているよね。あとは飛行機の操縦をしたし……。僕はマッキューの運転手兼パイロットです(笑)。
監督:確かに、ノルウェーでは森に行くためにトムが運転しないとならなかった。カメラの前で飛ぶ姿を見るとハラハラしますが、トムは仕事の時とプライベートでは分けています。
トム:アクロバット飛行をするときは、前もって警告の声かけをします。「曲芸飛行してもいいか?」って。
監督:(ご立腹風に)でも、一度だまってアクロバットしたことがあったよ!
トム:(笑顔で)あったね!いつだっけ?
監督:ノルウェーで、僕がヘリから身を乗り出して外を見ていたら、機体を傾けて……。
トム:あのときは、すまなかった。でも、基本的には事前に知らせているよ。
監督:トムは、コントロールできる範囲を熟知しているからね(誇らしげに、どや顔)。
MC:飛行機の羽根の上を歩くこと(=ウィングウォーキング)を提案したんですか?
トム:監督と話し合いました。アクロバットのパイロットと、どのようなことが可能か話をしながら、どの機体にするか選び、さまざまなテストをして、数年かけて準備しました。そしてストーリーを確認して、「ここからここまでを数秒で動いて欲しい」と言われ、「それは無理」といったやりとりをしました。「それでは、こういうのはどう?」という代案がでて、「本当に申し訳ないけどできない」と言うこともありました。
監督:たぶん「できない」が聞えなかったんだよ。
トム:スピードにともなう風圧がすごくて(飛行機の)翼の上で素早く動くことが難しかったんです。物理的に動きが制限されるし、機体のスピード感もすごくて、だから「実際にやってみるのが一番いいのでは? (監督が)飛行機の外側に座って実際に風圧を感じて欲しい」って答えました。その場で(監督に)講習をはじめました。
監督:そのための説明を20分間受けました(笑)。それで実際に、ウィングウォーキングしてみて、実はかなりいい感じでした。楽しかったので、本気でもう一度やりたいと思っています。
トム:監督は、その時に風圧を感じるとともに、息ができなくなることを知りました。翼の上では体力を消耗するし、呼吸がしやすい方法を探すことになりました。監督は、現実を理解してくれています。同じく水中シーンもそうで、独特のハンドサインで僕らに指示をしてくれました。空中シーンでも、ヘリにいる監督が扉を開けて、ハンドシグナルでお互いにやりとりをしました、「危険」、「照明などの機材トラブル」、「もう一度演じて」、「大丈夫か?」って。
監督:照明は(再現して)「額に手の平」。
トム:(再現して)「上唇に手を当てると休憩中」、「頭頂部を触るとトラブル」って感じに。
監督:でもたまにヘアスタイルを直しているだけの時もあってね(笑)。
トム:そうそう(笑)。いづれにしても、ただ歩くだけでではなくて(飛んでいる機体の)翼の上にいることは、全身の筋肉が疲れます。演技をしながら機体の上で移動する。ほかにも飛行機を無重力で逆さまにできるようにパイロットを訓練しました。飛行機は、逆さまになるとエンジンが止まる場合もありますから、とにかく慎重に準備をしました。翼の上で過ごして肉体の限度も確認して、エレルギーがきれると腕が震えだしたり、まったく動けなくなるので、続けられるように身体を、筋肉を、鍛えて、とても厳しく困難なことでした。これまで監督とともにさまざまな挑戦をしてきましたけど、監督にいろいろな経験をさせられたこともありますけど、これほどの経験は初めてでした。それが本作の飛行機と潜水艦のシーンです。

監督:水中シーンは、僕も潜りました。カメラだけだと空間認識がしにくいこと、それに第三者を介すと指示のやりとりが煩雑になり、1日に6ショットしか撮れません。でも、僕が一緒にもぐれば意見交換もできるし、1日に24ショット撮れました。
それからトムが自分で言わないだろうから、僕が話します。あのプロペラ機での機上シーンは、カメラの焦点などはすべてトムが考えました。それらをすべて一人で操作し管理して、お芝居も撮影も成し遂げています。撮りたいショットができないときは、午前中に確認して、午後には手作りの機材を用意して、撮影したこともありましたよ。
トム:マッキューに「もっとフォーカスをこうして」とか言われましたね(笑)。どうすればいいのか、現場でしかわからないことがあります。でも僕は、とにかく諦めません。常に目標を持って、新しいことにチャレンジしています。誰かから許可を得るのではなく、自分自身で達成していきます。

来日会見には、ヘイリー・アトウェル(グレース)、サイモン・ペッグ(グレッグ)、ポム・クレメンティエフ(パリス)、グレッグ・ターザン・ディヴィス(ドガ)も出席した。
【おまけ】
トム・クルーズのSNSには、本作のメイキング映像が!ぜひ見てみて。
映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(東和ピクチャーズ 配給)は2025年5月23日[金]より日米同時公開
【※】2025年5月17日[土]-22日[木]の先行上映が緊急決定!
©2024 PARAMOUNT PICTURES.
映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』公式サイトhttp://missionimpossible.jp/
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