SABU、大野いと、松山ケンイチ

松山ケンイチ「映画『天の茶助』は斬新さを意識した」

フォトギャラリー ベルリン国際映画祭 映画会見/イベントレポート

映画『天の茶助』記者会見

映画『天の茶助』inベルリン映画祭――SABU監督の世界にどのように自分を投影しましたか?撮影の感想は?

松山ケンイチ:僕は監督と組むのは2回目なんですけど、監督は役者の気持ちを考えて撮ってくれるので全くストレスを感じませんでした。茶助は天使だけでなく、人間だったころの様々なキャラクターを持っている役なので、演じていて楽しめました。

大野いと:私は初めてSABU監督とお仕事をやらせて頂いたのですが、背景があまるところがなく、本当に綺麗だなと思いました。(撮影時に)映像をプレビューさせて頂いたとき、綺麗な背景の中に映る登場人物を観て、本当に素敵な映画だなと思いました。SABU監督の世界の中に入れて頂いたことを嬉しく思っています。

――監督は、なぜ舞台を沖縄にしたのでしょうか?

SABU監督:沖縄を選んだ理由ですが、3年前から沖縄に住んでいます。小説は沖縄に住む前にすでに書き終えていました。沖縄にはきれいなサンゴ礁や海が有名で、そういう映画はこれまでも多く描かれていましたが、(本作に登場する)裏路地など、まったく今まで描かれていないロケーションを取り入れました。映画に出演いただいた沖縄の伝統芸能も、天界という設定に通じるものがあると思い、沖縄を舞台にしました。

――松山さん、ベルリンの印象を教えてください。

映画『天の茶助』inベルリン映画祭松山ケンイチ:ずっと来てみたかったんですが、今回SABU監督の作品で、この場に来ることができてとても嬉しいです。ドイツで出会った皆さんは、「開いている」という印象です。そのおかげで僕も開放感を覚えました。今日、ランチでミート(肉料理)を頼んだのですが、チョコレートがかかっていて……すごく斬新でしたね(笑)。

――映画の中でも斬新なアバンギャルドなシーンがありますが、どう思いますか?

松山ケンイチ:冒頭である「斬新」いう台詞があるんですが、その言葉自体久しぶりに聞いたなと。映画の中で神様が今の世の中にありきたりな脚本じゃなくて斬新さを求めている。そのような設定で、僕も茶助に対してなにか斬新なものを出せないかと常に悩んでいました。撮影時を振り返ると、どのスタッフの皆さんも斬新さを意識し、映像表現に工夫を試みていました。本当に刺激的な現場でした。

――松山さんの役作りでお聞きします。松山さんは、作品によって入り込んで、全く違う演技を見せるカメレオン俳優だと思いますが、役へのアプローチをどのようにつけるようにやられたのですか?

松山ケンイチ:茶助はお茶くみ係ですか、生きていた時はヤクザだった話なんです。撮影前はずっと『仁義なき戦い』を観てました。高倉健さん、菅原文太さんには非常にお世話になりました。それによって、表情も全然違うもになったと思いますし、かわいらしい茶助だったり、かっこいい茶助を演じれたかなと思います。

――大野さんは、台詞がほとんどありませんでしたが、最後のシーンに込めた思いを聞かせてください。

映画『天の茶助』inベルリン映画祭大野いと:私は、言葉を発せない役だったので台詞はほとんどありませんでした。しゃべれないのは本当にストレスのたまることだろうし、大変なことだと思います。声が出ないだけで何もかもが不自由になるかもしれないと思います。最後、叫ぶシーンがあるんですが、いつも気持ちを受け止めるユリが、初めて好きになった人を「自分が助けたい」と気持ちが高まって、必死にもがいて声を出たのかなと思います。

――運命を自分で変えることができるかが大きなテーマです。

SABU監督:「運命」という言葉はどちらかというとマイナスなイメージが強いです。運命は受け入れるのではなく、変えていく、変えていけた方がいいと思っています。

松山ケンイチ:未来は常に後から来るものなので、今いる自分の位置が最先端であり、自ら自分を作っていくものだと思います。運命をあまり意識したことはないですね。

大野いと:私は運命は変えることのできるものだと信じています。ただ、運命は自分の力だけでは変えらないと思っていて、『天の茶助』のように、ユリも茶助と出会って、初めて運命を変えることができたんだと思います。

2015年日本映画/105分
英題=Chasuke’s Journey
日本公開=2015年6月27日
配給=松竹メディア事業部、オフィス北野
公式サイト http://www.chasuke-movie.com/
©2015『天の茶助』製作委員会

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