映画『人生スイッチ』ダミアン・ジフロン監督インタビュー

ダミアン・ジフロン監督「オムニバス映画が成功する秘訣」を明かす

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ダミアン・ジフロン監督「オムニバス映画が成功する秘訣」

ダミアン・ジフロン監督「自己抑制の代償は大きい」

――ペドロ・アルモドバルが本作に関わったことも支援になったのでは?

ペドロ・アルモドバル、オーグスティン・アルモドバル、エスター・ガルシアが2006年に僕が作った映画「On Probation」を見てくれて、とても気に入ってくれたようなんだ。なおかつK&S Filmsのプロデューサーとも関わりがあったみたいでオーグスティンがアルゼンチンに来た時に一緒にディナーに行ったんだ。彼は僕が次にどんなものを作ろうとしているのか聞いてきて、彼とペドロがプロデューサーになりたいと言ってくれたんだ。もちろんとてもありがたいし、幸せだったよ。

制作の面から言えば、ペドロは自分の会社を持っているし、好きな時に好きなものを撮れる。彼はアーティストにとって最も大事なことは自由であることだと本当に信じてるんだ。だから、彼がプロデューサーになる時には、その作品の監督のために同じ環境を作ってくれるんだ。彼は「脚本は素晴らしかった。1つのコンマすら変えずに作るんだ。君以上にこの話を良く撮れる人なんていないんだから、君はやるべきことをやるんだ」と言ったよ。

――その後の、製作過程でも助言を得られたのですか?

ファーストカットを彼に見せて、それについて語り合った。もちろん、彼は世界的に有名なアーティストなのに、作品がカンヌ映画祭に出品されるなんてことになったら彼がその作品の先頭に立って大使のような役割を果たさなきゃならない。カンヌでもたくさんの取材を受けてくれたよ。サンセバスチャンにも僕と一緒に来てくれたんだ。この作品に関して話すのに、何ヶ国にも来てくれた。彼はこの作品の偉大なるゴッドファーザー(名付け親、ボス的な)のようなものだよ。

――怒りや感情の暴走に身を委ねること=喜び、と表現されるのはユニークだと思ったのですが

人生において、逮捕されたり死にたくなければ自分自身を抑制しなくてはならない時がある。だから、喧嘩したくても出来ないときもあるんだ。でも、抑制していることの代償も大きい。生きていた方が良いけど、あれを言えば良かった、こうすれば良かった、と過去を思い悩むことになる。芸術や脚本の中では抑制する必要なんてない。最後の最後まで突き進んで、その経験を変換して観客に見せればいいんだ。血や苦悩が見えても、観客は大いに笑ってくれると思うよ。抑制するのではなく、反抗することの楽しさや欲求を理解できるだろうから。

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アルゼンチン、スペイン映画/122分
原題=Relatos Salvajes(2014)IMDb
日本公開=2015年7月25日
配給=ギャガ
公式サイト http://jinseiswitch.gaga.ne.jp/
©2014Kramer & Sigman Films / El Deseo

ダミアン・ジフロン|Damian Szifron

映画『人生スイッチ』ダミアン・ジフロン監督インタビュー1975年、アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。ブエノスアイレスにある映画の大学で映画研究の学位を取得する。2003年、マル・デル・プラタ国際映画祭で初監督映画『The Bottom of the Sea』を発表、ラテンアメリカ映画部門のスルバー・オンブ賞と国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞を受賞する。さらにサン・セバスチャン映画祭でも審査員特別賞を始め、数々の賞に輝く。

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