映画『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』( 原題=A MOST VIOLENT YEAR )監督インタビュー

映画『アメリカン・ドリーマー』は「ジェシカ・チャステインが決定打だった」

映画インタビュー 映画会見/イベントレポート

J.C.チャンダー監督とジェシカ・チャステイン
J.C.チャンダー監督とジェシカ・チャステイン
©2014 PM/IN Finance.LLC.
[シネママニエラ]J.C.チャンダー監督が映画『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』という企画の成り立ちから脚本執筆、配役に至るまで、じっくり語った。前・中・後編でお届けする。【前】成功するためにはチャンスが必要だ 【中】映画における暴力を分析 【後】人生を懸けてこの道に進むチャンス

成功するためにはチャンスが必要だ

僕は脚本も書かないうちから、知り合いのプロデューサーや映画制作仲間に、この映画のことを売り込み始めた。ストーリーは頭の中にあったんだよ。僕が腰を据えて脚本を書き始める時には、完成した映画の確固たるビジョンが頭の中に出来上がっている。それを一定の時間をかけて引き出すわけだが、これが大変なんだよ。『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』の制作が終わった春頃に脚本を書き、とても満足できるものができたんだ。書き終わったのはカンヌに行く1週間前だった。

オスカー・アイザックが演じたアベルは最初、「この男は誰だ、これは何の映画だ」と、観客は考える。そこに、ほとんどの人にとって大きな転換点となるシーンが来る。アベルが研修生にセールスのことを教える場面だ。彼が売り込み口上を始めると、観客に説教しているような形になる。アベルに見つめられた観客は笑い出し、それから研修生たちが笑い出す。彼は「冗談ではない」と笑っている研修生を叱るが、これはある意味で、観客を叱っているんだよ。

観客は映画館の座席で考える。「何だ、これは。ギャング映画なのか?」と。この時、アベルは彼にとって何が大事なのかを伝えている。「これは冗談ではない。生きるか死ぬかの問題だ。このために人生をささげ、家族との時間を犠牲にし、彼らを放ったらかしにした。そうやって自分はこのビジネスを築き上げているのだ」と。これらはすべて彼が自分で作り上げた神話の一部だ。移民のストーリーと聞いて人々が期待するものを、うまく裏切れていることを祈るよ。自力ではい上がるなんてありえないと気づくはずだ。

この国で成功するためにはチャンスが必要だ。そしてその成功は、先人たちが築いた礎の上に成り立っている。誰しも他人の上に自分の成功を築くんだ。でもアベルは、独力で成り上がるというアイデア、伝統的なアメリカの神話を受け入れた。それによって彼は優れたセールスマンとなり、自分を過信しながら生きるようになった。>>【中】映画における暴力を分析

J.C.チャンダー|J.C. Chandor

映画『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』( 原題=A MOST VIOLENT YEAR )監督インタビュー
©2014 PM/IN Finance.LLC.
1973年11月24日、アメリカ合衆国 ニュージャージー州 モリスタウン生まれ。コマーシャルやドキュメンタリーでキャリアを積み、2011年にスリラー映画『マージン・コール』で監督デビュー。名優ロバート・レッドフォード主演の海難映画『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』、『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』が3作目。

配給=ギャガ
公式サイト http://american-dreamer.gaga.ne.jp/
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